陸ノ型:キャストの演技に合わせて表情を描いていた!

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 先ほどトータルバランスの話をしたが、ギリギリまでクオリティーを高めるべく、“全集中”するのが『鬼滅の刃』流。アフレコでキャスト陣の演技を見たうえで、よりエモいシーンになるように表情を描きかえることもしばしばだったという。

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のパンフレット内で明かされた部分だと、炭治郎の泣きの演技の部分は、彼を演じた花江夏樹氏の演技からインスピレーションを受け、作っていったそう。

 アフレコ段階では絵コンテの映像をベースにしたもので行い、炭治郎が森に入った猗窩座に向かって叫ぶシーン以降、彼が号泣するさまなどは、全て花江氏の演技合わせで原画を描いていったとか。

 そういった裏話を聞いてからもう一度『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観ると、感動がより染みわたってくるのではないだろうか。

漆ノ型:煉獄さんの「炎の呼吸」の参考になったのは……

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 『鬼滅の刃』といえば、それぞれのキャラクターが使う「呼吸」の違いが人気。炭治郎の「水の呼吸」や「ヒノカミ神楽」、善逸の「雷の呼吸」、そして『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で大活躍する煉獄さんの「炎の呼吸」等々。

 アニメ版では「水の呼吸」は浮世絵を参考にしており、打ち潮が立ち昇るようなエネルギッシュな描写が施されている。

 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』での炎の呼吸も、煉獄さんの心の強さを象徴するかのごとく、熱く熱くめらめらと燃え盛る炎が特徴的だが、これもパンフレットを参照すると、外崎監督が「『鳥羽伏見の戦い』の錦絵における、大砲が火を吹いている表現」を参考にしたと語っている(月岡芳年による「慶応四年戊辰正月三日城洲於伏見戦争之図」のことだろうか?)。

 ちなみにその炎をそのまま描くのではなく、いったん3Dで起こしてから2Dの絵にアレンジしていくという工程をとったそうだ。

捌ノ型:善逸役の下野紘、配役の決め手は「汚い高音」

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 『鬼滅の刃』ファンにはおなじみのフレーズ、「汚い高音」。これは何かというと、少年ジャンプ誌上で行われた本作の第2回人気投票にて1位を獲得した、善逸の叫び声を表すもの。

 この善逸、普段は臆病で怖がり、やや情緒不安定の気があり、よく叫ぶ。原作の第23話では、鬼に追い掛け回されてパニックになり「ア゛ーッ(汚い高音)」という叫び声を上げる。これが読者の間で受け、定着したというわけだ。

 オーディションによってアニメの善逸役を勝ち取った下野紘氏も、この「汚い高音」を絶賛されており、「ィィィィィィヤァァァァァ!!!」といったような、原作を見事に表現した汚い絶叫(褒めてます)を連発している。

 また、オーディションの際には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で描かれる「夢」のシーンの本読みが課題だったそうで、そのエピソードを知ってからくだんのシーンを観ると、また違った感想を抱くのではないだろうか。

玖ノ型:鬼のキャストが豪華すぎ問題

公式WEBラジオ『鬼滅ラヂヲ』【第45回】ゲスト:日野聡」(https://www.youtube.com/watch?v=Bgkw8LgcGcE)より。

 『鬼滅の刃』公式WEBラジオ『鬼滅ラヂヲ』をご存じだろうか? 各キャストが毎回爆笑エピソードを繰り広げる番組なのだが、そこでネタにされていたのがこの「豪華声優を瞬殺する事件」。

 それは、アニメ『鬼滅の刃』最終話となる第26話で起こった……。ここでは、鬼の親玉である無惨が、配下の「十二鬼月」から、階級が下の「下弦」に該当する鬼たちを呼びつけ、次々と殺害していくさまが描かれる。

 ネット上などで「パワハラwww」などと話題になったため、鮮明に覚えている方も多いのではないか。

 このとき、無惨に呼び出された下弦の鬼は全部で5体。本当は6なのだが、下弦の伍である累(声:内山昂輝)は、那田蜘蛛山編にて炭治郎や、兄弟子の冨岡義勇によって倒されたため、駆け付けることができなかった。

 下弦の壱は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でも活躍する魘夢(平川大輔)。彼を残して皆が無惨に屠られるわけだが、下弦の弐・轆轤は楠大典、下弦の参・病葉は保志総一朗、下弦の肆・零余子は植田佳奈、下弦の陸・釜鵺はKENNがそれぞれ演じている。彼らがわずか1話で姿を消す展開に、『鬼滅ラヂヲ』は騒然としていた。

 もともと、アニメ『鬼滅の刃』は鬼側のキャストが非常に豪華で、緑川光や諏訪部順一、子安武人、豊崎愛生、木村良平、福山潤、小松未可子といったオールスターたちが、毎話登場しては討ち取られていく。アニメファン的には、非常に贅沢なことになっているのだ。

2020.12.06(日)
文=SYO