この記事の連載
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劇場版『名探偵コナン』の第26作となる『黒鉄の魚影(サブマリン)』がシリーズ史上初めて国内興行収入100億円を突破した(※以下の興収はすべて国内の数字)。2023年4月14日の劇場公開日から31日間で興収111億円超、観客動員数は約783万人を記録。6月25日時点で(公開日から73日間)、興収131億円超、観客動員数は約926万人まで拡大した。
封切られるや否や、いわゆる“初週”の成績である公開3日間で興収31億円超、観客動員数約217万人を記録するなどシリーズ史上トップのスタートダッシュを決め「100億円は確実」と言われていたが、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ほかゴールデンウィークシーズンのライバルたちとしのぎを削るなか、悲願を成し遂げた。
近年の国内興収100億円突破作品には
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』102億円
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』123億円
『トップガン マーヴェリック』137億円
『劇場版 呪術廻戦 0』138億円
『THE FIRST SLAM DUNK』146億円
『すずめの戸締まり』147億円
『ONE PIECE FILM RED』197億円
等があり(6月27日現在)、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』がどこまで数字を伸ばせるのか期待が高まる。
先ほど「悲願」と述べたが、劇場版コナンシリーズにおいて100億円はなかなか越えられない壁だった。
第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(22)……97億円
第23作『名探偵コナン 紺青の拳』(19)……93億円
第22作『名探偵コナン ゼロの執行人』(18)……91億円
とあともうひと山のところまで来ていたが、なかなか越えられない。コロナ禍の影響を受けて1年公開を延期した第24作『緋色の弾丸』(21)は、国内興収76億円にとどまった。とはいえ本作においてはコロナ禍の影響をもろに受けているため、その部分も加味して判断する必要があるだろう。『緋色の弾丸』を“特例”とすると、2018~2022年にアラウンド90億円を経験し、試行錯誤の末ついに2023年の『黒鉄の魚影』で……という格好だ。
劇場版コナンシリーズは1997年公開の第1作『時計じかけの摩天楼』から始まったため、四半世紀以上をかけてここまでたどり着いたと考えると、実に感慨深い。僕自身、小学校低学年の頃から本シリーズを追いかけているコナンウォッチャーであるのだが、『黒鉄の魚影』は作品のクオリティも含めて、新記録に至った必然性を感じずにはいられない。
本稿では劇場版コナンシリーズの歩みを振り返り、それらが『黒鉄の魚影』にどう受け継がれているか分析する形で、本作が興収100億円を突破した“必然性”について考えていきたい。
2023.07.05(水)
文=SYO