「麒麟がくる」の2秒のジャンプで 大ファンに
こんな経験はありませんか。あまり興味がなかった人気タレントに、ある日「この人こんなにカッコ良かったっけ?」と突然身を乗り出す。
そう。「いきなりフォーリンラブ案件」――。
しかしそれを友人に伝えると、「今さら?」と返ってくることがある。この「今さら」という言葉のやるせなさよ……。
いやいや人を好きになるタイミングなんて自由やん? とイラッとすると同時に「まあ確かにそうかもねゴメン」と己の鈍いアンテナにダメ出ししたくもなり。
遅れてきたマイブームというのは、複雑かつ切ない気分になるものだ。
そして2020年6月某日、私にも悩ましい「遅れてきたマイブーム」がやってきた。その人の名は今井翼。25年見逃してきたのに、今回恋に落ちるのに費やした時間たったの2秒!
きっかけは「麒麟がくる」の紹介動画「第21回 まとめ 決戦!桶狭間 5分ダイジェスト」である。オススメに上がってきたので何気なくクリックした。
が、2分52秒あたりでドカンとアップで映った毛利新介役がセクシー過ぎて、時間が止まった。誰!? このイカシた鎧兜。今井翼やないかい。
そんな私の驚きをさらに煽るように今井 翼、今川義元の首を討つためジャーンプ!!
演出そのものがすごかったが、この空中ポーズの完成度たるや!
左脚の絶妙な上がり具合、そして両手に持った槍を斜め上に振り上げるポーズが! 人間跳んでここまで体勢がキレイに決められるものなのかと目が釘付けになった。
その晩私は、3分10秒からの「今川義元がいたぞー!」のくだりから、「毛利新介、今川義元打ち取ったり」と叫ぶ3分27秒までを狂ったようにリピートし寝不足に。
おかげで今井 翼だけでなく今川義元役の片岡愛之助まで大好きになってしまった。好きは新たな好きを呼ぶ。
2020.08.12(水)
文=田中 稲