物語の妙に、思う存分酔いしれて

「虫と歌 市川春子作品集」市川春子

 肩を壊した野球少年の妹になったのは、とある物体。

 「ひとのくずとほしのちりの兄妹」が魅せるひと夏の物語をはじめ、優しく残酷で不思議な味わいの4篇と2ページの超短篇が収録された作品集。

「どの作品を読んでも気持ちがぐしゃぐしゃになる、おかしくなる。と同時に、こういう希望のある話が好きなことに気づく」(澤部さん)

「虫と歌 市川春子作品集」

市川春子
講談社 581円

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少女時代のほろ苦さと、切なさと

「おともだち」 高野文子

 日本が舞台の3篇とアメリカが舞台の2篇を合わせた作品集。
 
 オペラ上演をめぐる女学生の繊細な心の動きと、光と影が鮮烈な印象を残す舞台シーンは必見。

「何回か読み返すうちに、すごい話だなあとじわじわ実感する。衣装のしっぽが取れちゃうシーンが特に心に残るんです」(澤部さん)

「おともだち」

高野文子
筑摩書房 1,600円

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CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。