物語の妙に、思う存分酔いしれて
「虫と歌 市川春子作品集」市川春子
肩を壊した野球少年の妹になったのは、とある物体。
「ひとのくずとほしのちりの兄妹」が魅せるひと夏の物語をはじめ、優しく残酷で不思議な味わいの4篇と2ページの超短篇が収録された作品集。
「どの作品を読んでも気持ちがぐしゃぐしゃになる、おかしくなる。と同時に、こういう希望のある話が好きなことに気づく」(澤部さん)
少女時代のほろ苦さと、切なさと
「おともだち」 高野文子
日本が舞台の3篇とアメリカが舞台の2篇を合わせた作品集。
オペラ上演をめぐる女学生の繊細な心の動きと、光と影が鮮烈な印象を残す舞台シーンは必見。
「何回か読み返すうちに、すごい話だなあとじわじわ実感する。衣装のしっぽが取れちゃうシーンが特に心に残るんです」(澤部さん)
2020.07.10(金)
Text=Arei Matsuyama
Photograph=Masumi Ishida