気が付かないうちに感情移入している
「ちづかマップ」衿沢世衣子
古地図が大好きな高校生のちづかが、古地図片手に日本橋や新宿、青梅などを散策。
その土地の豆知識を楽しみつつ、登場人物それぞれの心情に想像力を掻き立てられる。
「うつむき気味に犬を連れて、『2度もフラれた』って言う場面がエモい。『読んだ?』って友達に電話したくらい」(澤部さん)
孤独が愛しく思えてくる1冊
「惑星9の休日」町田 洋
デビュー作である、全篇描きおろしの連作短篇集。宇宙の辺境の小さな星、惑星9で暮らす人々の日常は、地球の私たちの日常にどこか似ている。
几帳面なまでに整然と並ぶ四角いコマに描かれる、白と黒のコントラストが美しい。
「書店で見かけた瞬間に面白いと確信して買ったら、本当に面白くて。『それはどこかへ行った』のコマがたまらない」(澤部さん)
2020.07.10(金)
Text=Arei Matsuyama
Photograph=Masumi Ishida