気が付かないうちに感情移入している

「ちづかマップ」衿沢世衣子

 古地図が大好きな高校生のちづかが、古地図片手に日本橋や新宿、青梅などを散策。

 その土地の豆知識を楽しみつつ、登場人物それぞれの心情に想像力を掻き立てられる。

「うつむき気味に犬を連れて、『2度もフラれた』って言う場面がエモい。『読んだ?』って友達に電話したくらい」(澤部さん)

「ちづかマップ」

衿沢世衣子
小学館 全3巻 743~900円

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孤独が愛しく思えてくる1冊

「惑星9の休日」町田 洋

 デビュー作である、全篇描きおろしの連作短篇集。宇宙の辺境の小さな星、惑星9で暮らす人々の日常は、地球の私たちの日常にどこか似ている。

 几帳面なまでに整然と並ぶ四角いコマに描かれる、白と黒のコントラストが美しい。

「書店で見かけた瞬間に面白いと確信して買ったら、本当に面白くて。『それはどこかへ行った』のコマがたまらない」(澤部さん)

「惑星9の休日」

町田 洋
祥伝社 743円

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2020.07.10(金)
Text=Arei Matsuyama
Photograph=Masumi Ishida

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

偏愛のすすめ。

CREA 2020年6・7月合併号

好きなものがあるっていいよね
偏愛のすすめ。

特別定価840円

偏愛の対象は人それぞれ。愛するものと出合った人たちの言葉は、どれも純粋な喜びに満ちていて、耳を傾けているだけで幸せな気分にしてくれます。パンダに魔女っ子おもちゃ、脚付きの器にカツカレーの食べ方まで。マイワールドを謳歌する人々の“偏愛”を盛りだくさんでお届けします。気になる作品満載のBOOK in BOOK「愛してやまない映画とドラマ」も必見です。