優雅な時を過ごせるパブリックスペース

 部屋でのんびりとくつろぐのもいいけれど、「星のや京都」なら、パブリックスペースで過ごす時間も格別だ。客室数が少なく、プライベート感覚、マイペースで楽しむことができる。

 チェックインを済ませたら、まずは敷地内に建つ「Salon & Bar 蔵」へ。漆喰壁と梁が印象的なここは、大人が楽しめる空間そのもの。

 ウエルカムスイーツとしてカリフォルニア産スパークリングワインとともに用意されるのは、京都の老舗和菓子店、「亀屋良長(かめやよしなが)」の銘菓、「烏羽玉(うばたま)」。定番の味に加え、季節に合わせた「星のや京都」のオリジナルの味も味わうことができるのは、ここを訪れる密かな楽しみでもある。

 「Salon & Bar 蔵」は、時間によって異なる楽しみがある。朝は京都下鴨にある「カフェ・ヴェルディ」の挽きたてコーヒー、夜は全国から選び抜かれたジャパニーズウイスキーを嗜みながら、一人で過ごすのもいい。

 つい長居したくなるのが、フロントにある「ライブラリーラウンジ」。京都の個性派書店、「恵文社一乗寺店」がセレクトした旅をテーマにした書籍が、次の旅への好奇心を誘う。コーヒーやハーブティーを飲みながらじっくり読書をするのも、贅沢な時間だ。

 京都らしさを満喫できるのは、「空中茶室」。その名のとおり、目の前を流れる大堰川にせり出すように造られたここは、嵐山の四季を存分に感じることができる特等席。ときおり、カラフルな車体の嵯峨野トロッコ列車が山間を抜けていくのが見えるのも楽しい。

2020.01.18(土)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵