阿部寛との共演の思い出

――ちなみに、最新出演作『カラスの親指』では、役作りのために10キロ増されたそうですが、どのようにして増やしたのでしょうか?

 原作を読んだときに、貫太郎を僕が演じて大丈夫かなと思ったんですが、原作のファンになったこともあり、できるだけ原作の風貌やキャラに近づけたいと思ったんです。最初の2カ月は別の仕事が入っていたので5キロ、その後の1カ月で5キロ増やしました。朝起きて3合のごはんを食べて、昼はマヨネーズをたっぷりかけた唐揚げをおかずに1.5合のごはんを食べて、夜ごはんを食べているのに、寝る前にラーメン……の生活を繰り返して。ずっと喉越しに何かがあるようで、飲み物も入らないんですよ。初めて太っている人が「疲れた」と言う気持ちがわかりましたね(笑)。

――阿部寛さんと共演された、今回の現場で学んだことはありますか?

 もちろん、阿部さんのお芝居を間近で見られること。阿部さんは心の広い方で、どーんとぶつかっていけるような空気を出してくれたことが有り難かったです。あと、共演の村上ショージさんが盛り上げてくれたり、カメラが回っていないところでも役名で呼び合っていたり、キャラクターの濃い方が揃っていたので、それぞれの方のまっすぐな役者魂を感じることができた現場でしたね。

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2012.11.16(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Atsushi Hosoda