謎多き「白ネクタイの男」を
演じた最新出演映画

――今年公開された映画『一人の息子』では、引っ越し業者で働く普通の青年役を好演されましたが、舞台とは違った芝居のアプローチはいかがでしたか?

 これまで舞台でも映像でも、特殊な役が多かったのですが、僕自身、日常を淡々と描いた作品は好きですし、是非出てみたいと思っていたタイプの作品なので、スゴく楽しかったです。じつは2年ほど前に、舞台と映画の芝居の違いについて考えすぎてしまったことがあって。それで相談した先輩から、「カメラマンさんもプロだし、好きにやっていいと思うよ」と言われたんです。その言葉を聞いた瞬間、「舞台、映像とか関係なく、その場にいることを心掛けて、芝居しよう」と、スッキリしました。なので、今ではその違いを意識していません。

――最新出演映画『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』。18年1月に上演された西田大輔さん作・演出の「舞台版」に続いての出演となります。

 キャストも「舞台版」と一緒ですが、どんな願いも叶う一匹の魚を巡る話という設定以外は、まったくの別作品なんです。約1カ月のあいだに、映画の撮影をして、舞台の稽古をして、本番を迎えたので、余計なことを考える暇もなく、とにかくセリフを入れて、2作品を連続してやるという、とても不思議な感覚だったのを覚えています。

2018.12.07(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=泉脇崇(Lomalia)
衣装=瓢子ちあき