いつしか心が自然に還る
森のなかのウッドデッキ
「星のや富士」のメインステージは、キャビンよりも山上にあるクラウドテラスと呼ばれるエリアだ。ここには、早朝から夜まで焚き火が灯るラウンジと、丘陵地に沿って階層状に連なるウッドデッキ、自由に飲めるドリンクや本を用意したライブラリーカフェなどがある。
ウッドデッキで耳にするのは、サワサワという葉擦れの音や野鳥の鳴き声、パチパチと薪が燃える音。木漏れ日が美しい木々を仰ぎながら、ふと、「ここしばらく、空を見上げることなんてなかったなあ」と気づく。
ここは、日常ではできないことを楽しむとっておきの場所。焚き火を囲んで語り合ったり、ハンモックでうたた寝をしたり、ゆったりとしたチェアに座って読書をしたり。
朝のストレッチや午後のスイーツタイム、焚き火を囲んでお酒を飲むバータイムなど、時間帯によってさまざまな催しも行なわれているから、一日いても飽きることがない。
クラウドテラスにはぜひ、チェックイン時に貸し出されるリュックサックを持参したい。中には、バードウォッチング用の双眼鏡や、夜の散策時に便利なヘッドランプ、季節によってスプレーやブランケット、持ち帰りができるオリジナルのドリンクボトルやおやつのビスコッティが詰められている。
自分でアウトドア用のアイテムを用意しなくても済むのは、とてもラクチンだ。
アウトドアというと晴天を望むものだが、ここなら雨の日でも退屈知らず。
暖炉のあるライブラリーカフェでは寒い日や雨天も暖かく過ごすことができるし、雨の音を聴きながらみずみずしい森の空気を吸う深呼吸、特別なウエルカムドリンクなど、雨天時のスペシャルなプログラムも充実している。キャビンに用意された長靴や傘、ダウンコートをまとって、積極的に外に出たくなるだろう。
2018.09.29(土)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵