大学進学前に、改めて歌舞伎の道を決意

――3年後の14年には、「連獅子」を再演されるわけですが、そのときの心境の変化は?

 初演を1カ月間やらせていただいて、それによって少し自信がついたんです。でも、再演では自信がありすぎてはいけないと思ったし、初演よりもっと成長しなければいけないと。そんな自分の気持ちのなかで葛藤はありました。だから、昔の映像を見て、稽古での映像を見て、新たなものを作れるよう頑張りました。今度は1カ月のあいだに動きを変えるような余裕もあり、千穐楽を終えて、祖父から「よくやった。お疲れさま」という一言をいただいたときは嬉しかったです。

――自身の転機となった出来事や作品があれば教えてください。

 大学に行くことは中学のときに決めていたんですが、今からちょうど1年ぐらい前、高校を卒業するにあたって、父と「この後、歌舞伎をやっていくか?」というような話になったんです。そのとき、今までのことを一度振り返って、改めて、歌舞伎を続けていきたいと思ったんです。それに、お客さんや知り合いの方に、歌舞伎についてお話させていただくと、本当に楽しくて、「こんなに自分は歌舞伎好きなんだな」と思うようになったことも大きいですね。

2018.06.08(金)
文=くれい響
撮影=白澤正