過酷さが売り物だった
ASAYANオーディション
太シス結成のきっかけとなったのは、1998年の「つんくプロデュース芸能人新ユニットオーディション」だった。芸能経験がある女性が条件だったので、全員が切迫感と野心をムキダシにし、ピリピリギラギラが映像からガンガン出ていた。
そんな空気のままサンフランシスコに行き「サンフラン」と「シスコムーン」チームに分かれて、いろんなライブハウスでパフォーマンスさせられてたなあ……。
そして信田美帆(元オリンピック代表選手)・稲葉貴子(元大阪パフォーマンスドール)・小湊美和(民謡家元の娘)・RuRu(中国人歌手)の4人に決まった時は、正直心配しかなかった。
失礼だが華のあるルックスメンがいない。なにより全員持ってるムードがバラッバラ。歌が抜群にうまい小湊と身体能力がスゴイ信田はともかく、個性が立ちすぎて団体行動無理そうなRuRuと、個性がイマイチ見えない稲葉はどーすんだぃコレッてなもんである。
しかも、つけられたユニット名が「太陽とシスコムーン」。だだだダサッ。発表された時、小湊さんだったと思うが「『シスコムーン』は、オーディションでのグループの名前だったから愛着もあるんですけど『太陽と』ってなに?」とひたすら首をひねっていた覚えがある。多分視聴者の9割が同じ思いだったのではなかろうか。
が、それをつけるのが、ザ・つんくセンス。そして「ダセェ」から「おおぅッ?」と前のめりにさせられるのも、これまたザ・つんくセンスなのである。
そしていざ出た1stシングル「月と太陽」。あれを聞いた時の衝撃たるや!
2018.05.02(水)
文・撮影=田中 稲
写真=文藝春秋