コムスメが逆立ちしても出せない
「熟れギラ」感
「月と太陽」の4人のシャウトで始まる冒頭。
「太陽&シスコムーンレッツスタート! うーーーッ、あーぅ!!」
私はこれで陥落した。「やられた!」ってなもんである。
エネルギーの爆発ってこういうことかと思った。彼女たちが長い間抱えてきたであろう、挫折感や鬱屈が、パーンと水風船が弾けるように割れて飛び散り、それに反射して、抑えていた輝きがカッと出てギラギラ光る感じ。そのギラギラも、良い意味で重いのだ。重量感ある光! ルックスがどうのとかいうのとは次元の違う輝きであった。
「ダサッ」とか思ってた私のおバカさん! 思わずテレビの前でひれ伏した……。
私が勝手に心配していた稲葉が最高のバランサーになり、RuRuが絶妙なアクセントとなり、異種格闘技みたいな魅力に昇華してた。もうアッパレとしか言いようがない。
だからこそ、続いてほしかったのに、活動期間1年半って(泣)。いやいや過ぎ去った日々は思い出すまい。湿気た振り返りなど太シスに一番似合わない。ダラッダーララ!
さて、彼女たちの「ガタメキラ」「宇宙でLa Ta Ta」「Magic of Love」「HEY!真昼の蜃気楼」など伝説の名曲の数々は、現在もハロプロメンバーによって大切に歌い継がれている。
が。ひなフェスダイジェストで久々に見た「本家」、やっぱり最強であった……。
「太りましたね」ではなく「パワーついたね」と思わせる、豊満な魅力。若い子を食い散らかしそうなリビドー。これだよ、これなんだよッ、次世代の中年女性のあり方は。そうよ、女だァッてウォウウォウ言いながらガンガン攻めていくべきなのよ!
ビビッドなイエローの衣装以上に、その体から眩しい女豹オーラを溢れさせる彼女たちの映像が呼び水となり、それからすっかり「もっと、もっとくれ、太シスを」状態である。
歌え小湊。跳べ信田。ガナれ稲葉。そして今すぐ合流せよRuRu!
こんなところで叫んだとて届かんのはわかっちゃいるが、それでも黙ってはいられない。太陽&シスコムーン、ヒヤウィゴーナウッ。も一度、出てこーいッ!!
田中 稲(たなか いね)
大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。現在は「関西ウォーカー」で“Kansai Walkerで振り返る! 00年代の関西”連載中。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/
Column
田中稲の勝手に再ブーム
80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。
2018.05.02(水)
文・撮影=田中 稲
写真=文藝春秋