今後は「金曜ロードショー」で
放送されるような作品も!

――これまではあくまでも自主映画の枠内でしたが、今後は商業映画での活躍が期待されます。次回作以降の展望を教えてください。

 『聖なるもの』は、撮りたい映像を見せて、撮りたい映像で話を進めることを意識しながら撮った作品でした。それに関しては、今回でやり尽くした感があるので、今後はいろんな人に伝わりやすい、分かりやすく面白い作品も撮っていきたいです。だから、マンガ原作なんかもやってみたいですし、大きなことを言えば「金曜ロードショー」で定期的に放送されるような作品も撮りたいです。

――そこまで来ると、スタジオジブリ作品など、アニメの領域になりますよね。

 たとえばジブリ作品や『君の名は。』といった作品も、万人受けする作りであるうえで、かなり私的なものを巧妙に入れていると思う。そういったことを実写でやることも不可能ではないと思うんです。

岩切一空(いわきり・いそら)
1992年3月21日生まれ。東京都出身。早稲田大学文化構想学部文化構想学科に入学、映画サークルに入り、映画制作を開始。処女作『ISOLATION』が早稲田映画まつりでグランプリ、3作目『花に嵐』も、2017年度(第58回)日本映画監督協会新人賞のほか、PFFアワード2016(準グランプリほか)やカナザワ映画祭(観客賞ほか)を受賞。『聖なるもの』は「MOOSIC LAB 2017」で【長編部門】グランプリ、最優秀女優賞、ミュージシャン賞、男優賞の4冠に輝く。

『聖なるもの』
大学3年になる「僕」(岩切一空)は、4年に1度、映画研究会に現れる謎の少女と作った映画は必ず大傑作になるという噂を耳にする。ある日、僕の目の前にミステリアスな黒髪の美少女・南(南美櫻)が現れる。彼女に魅了された僕は後輩の小川(小川紗良)らを巻き込み、衝動的に南主演の映画を撮り始める。
http://seinarumono.com/
2018年4月14日より、ポレポレ東中野ほか、全国順次ロードショー。

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2018.04.06(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美