“フェリーニ meets 庵野秀明”な新作
――『花に嵐』は17年に劇場公開され、続いて若手監督の登竜門として知られる「MOOSIC LAB 2017」において最新作『聖なるもの』が上映されました。
もともと、大学の後輩監督の作品のカメラマンとして「MOOSIC LAB 2017」に参加する予定だったのですが、「それは何か違う」と思い、プロデューサーの方に『花に嵐』を観てもらいました。それで作品を気に入ってもらったことで、『花に嵐』の劇場公開が決まり、新作『聖なるもの』での「MOOSIC LAB 2017」の参加も決まりました。
――『聖なるもの』は「MOOSIC LAB 2017」で【長編部門】グランプリをはじめ、4冠を独占。こちらも劇場公開が決まりましたが、今回も“フェデリコ・フェリーニ meets 庵野秀明”なまったく予想できない展開とともに、映像美が印象的です。
好きなので趣味程度に写真を撮っていますが、映像でも一枚の画として見たときに、綺麗なものを目指したいという気持ちがあります。それに、メジャー大作と同じ入場料金を払って、低予算の自主映画を見せられたときの衝撃ってスゴいですよね、良くも悪くも。今回は最初から「MOOSIC LAB 2017」の劇場での上映が決まっていましたから、そんな劇場にフラッと来た人にも、内容なり、映像なりでインパクトを残すことを心がけたつもりです。
――また、『ISOLATION』以来、監督の作品はフェイクドキュメンタリー形式をとっていますが、その魅力を教えてください。
フェイクドキュメンタリーでしか映せない空気感もあるので好きなんですが、もともと2つの世界が登場する村上春樹さんの小説が好きで、それを映画でやってみたい気持ちが強いんです。これまでの作品では「映画を作る現場」と「映画の内容」という2つの世界を描いているわけですが、それは単にやりやすいから。だから、そうではない方法や設定を見出して、同じように2つの世界を描くという試みは、今後も続けていきたいと思います。
2018.04.06(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美