独特なセンスはアニメの影響から
――その後、早稲田大学の映画サークル(稲門シナリオ研究会)に入りますが、映画監督を目指すようになったのは、いつ頃ですか?
「映画を撮りたい」ぐらいの理由で映画学校(ENBUゼミナール)に入ったんですが、その卒業制作として撮った映画が『花に嵐』でした。それがPFFアワード2016やカナザワ映画祭といった、いろんな映画賞にノミネートされて、そこで出会った業界の人に「次、どんな映画を撮るの?」ときかれるまでは、商業映画を撮ってプロになる=映画監督を目指す、ということを意識してなかったのかもしれません。
――ちなみに、大学時代の2012年に撮られた処女作『ISOLATION』が早稲田映画まつりでグランプリを受賞し、吉田大八監督や内田けんじ監督にも評価されますが、そのときは?
大学時代は、本当は漫画研究会に入りたかったんですよ。でも、肌に合わずに映画サークルに入って、3年生のときに『ISOLATION』を撮ったんです。正直、誰にも理解されなくていい、と思って撮った映画でしたが、結果的に賞賛されて、グランプリを獲りました。でもその裏では、めちゃくちゃ批判もされたんです。人格を否定されるぐらい(笑)。それで、次はどんな映画を撮ればいいか分からなくなりました。
――さまざまなジャンルの映像をリミックスした展開や構成が、自主映画界で大きな話題になった『花に嵐』ですが、その独特なセンスは、どこで培われたものなんでしょうか?
僕はゼロから1を作れる人間ではないと思っていて、そうすると自然に自分に蓄積されたものの組み合わせや好みを考えていくようになっていきました。編集や音の使い方などは、「少女革命ウテナ」や「新世紀エヴァンゲリオン」など、中学・高校時代に見ていたアニメからの影響が大きいです。
2018.04.06(金)
文=くれい響
撮影=榎本麻美