今だから振り返る
「イタキス」現象

――日本では1996年にドラマ化され、「台湾版」や「韓国版」など、海外でもリメイクされていたほどの人気作ということで、古川さん的に“新しい入江”をどうやって演じようと思われましたか?

 過去の作品は、「韓国版」を1話観た程度でした。台本を読んだとき、そこに書かれたセリフは原作そのまんまだったので、確かにあまり現代的ではない感じがしました。でも、それが原作の持ち味でもあるため、深く考えず、できるだけ原作に近づけようとだけ思って演じることにしました。

――本作はその後、中国大陸で放送され、大人気となります。その気配のようなものは、撮影中から感じていましたか?

 日本のドラマで、日本で撮っていたので、そのようなことになるとは、まったく想像もしていませんでした。先に日本で放送されたときは、批判的な意見の方が多かったですし。やっぱり原作ファンが多い作品だったので、過去の実写化作品が好きな方は、それがリメイクされると批判的になるんですよね。この作品もポスターヴィジュアルが出た瞬間から、「似てないからイヤ」と、散々言われました。

――そのようなアンチな流れに対し、古川さんはどのように思われていましたか?

 当時の僕の心の声としては、「とりあえず1話だけでも観てほしい」というものでした。あまりにも、ヴィジュアルだけで判断してしまう人が多かったので。でも、その後の反応を見るかぎり、嫌々ながらも、1話、2話と観始めていくことで、ハマっていく人が多かったんです。そういった過程を、ちゃんと見ることができたので、逆に嬉しかったですね。

2018.01.26(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=五十嵐堂寿