『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督最新作のラブストーリー『風の色』で、一人二役を熱演。中華圏での爆発的人気を経て新たなステージに立った古川雄輝。「べっぴんさん」の好演も印象的だった彼が、前回に続き、現在公開中の日韓合作映画における、過酷な撮影を振り返る。

関西弁に苦戦した「べっぴんさん」

――「イタズラなKiss~Love in TOKYO」以降、正統派イケメンを演じることも増えたと思いますが、その流れについてはどのように捉えていますか?

 画に描いたようなイケメンを演じる役者が評価されないというのは、ちょっと違うと思うんです。あれはあれで、ひとつの技術だと思いますから。僕はそういう役を演じるにあたり、自分の顔について、いろいろ理解するようになりました。顔の右側と左側が違うので、どのアングルから撮るかで表情が変わりますし、カメラ位置も考えなきゃいけない。自然体でやろうとすると難しいと思っているので、ほかにも声の使い方だったり、いろんなところにアンテナを張りながら演じているつもりです。あと、コミックやアニメ原作のキャラを演じることが増えたので、ポスターヴィジュアルの撮影では、自分ができる範囲で厳しくチェックするよう心がけています。

――17年には、NHK朝ドラ「べっぴんさん」で演じた村田健太郎役も話題になりました。

 また、語学の話ですが、ここでは関西弁に苦戦しましたね。日本語、英語に続く、第3の言語みたいな感覚で、台本を読む時間も2倍かかりました。僕、スゴく音痴なので、聴いた音を、そのまま発することができないんです。関西弁で大切なのも音程ですし、関西弁に限らず、方言が苦手ということに、改めてこの作品で気づかされました。だから、方言のセリフを克服するのが、今後の大きな課題かもしれません。カメラ優先ではなく、動きや気持ちなど、役者を優先してくれる特殊な撮影スタイルだったのも、貴重な経験でした。

2018.02.09(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=五十嵐堂寿