EXO(エクソ)のカイが主演を務める「連続ドラマW 春が来た」。1月9日夜、東京・有楽町で行われた完成披露試写会では、主役のカイが来日して舞台挨拶を行った。初めての日本のドラマ、初めての日本語での演技。彼の努力の結晶は、観客から熱狂をもって迎えられた。
「あたたかい春とカイが来ました(笑)」
白いシャツに黒いスーツというシンプルなファッションに身を包み、舞台中央にどこか恥ずかしそうに佇む彼が、こう口にすると、観客席からは大歓声が巻き起こった――。
1月9日夜、東京・有楽町の朝日ホール。満員の観客を前に行われた「連続ドラマW 春が来た」の完成披露試写会では、主役のEXO(エクソ)のカイが来日して、共演陣、河合勇人監督とともに舞台挨拶を行った。
アジアを中心にグローバルな人気を誇るボーイズグループ、EXOの中でも、情感溢れるダンスで人気を集めるカイ。その成熟した表現力で人々を魅了してきた。
昨年、CREA2017年9月号「本と音楽とコーヒー。」特集に登場した際には、大ファンである東野圭吾の作品をはじめ、豊富な読書経験について語り、その表現力の源泉を明かしたが、今回のドラマではそれが演技に存分に発揮されることになった。
原作は、鋭い観察眼と愛情あるまなざしで人間の機微を描き出す脚本家、向田邦子の傑作短編「春が来た」。時代を昭和から平成に置き換え、現代の家族問題を取り入れてアレンジした今回のドラマで、カイは、それぞれが秘密を抱える、ある家族の前に春風のように現れ、運命を変えていく韓国人フォトグラファー、ジウォンを演じている。
ジウォンに心を奪われ、やがて想いを通わせるようになる“結婚適齢期”の長女を倉科カナ、勤務先を早期退職した父親を佐野史郎、生活にくたびれた母親を高畑淳子、平凡な姉を馬鹿にする陰のある高校生の次女を古畑星夏と、キャストには演技派が顔を揃える。
舞台挨拶で父親役の佐野が「なぜ(原作にはない)韓国の写真家が出てくるのか、最初はわからなかったんですけど、今の時代に即したドラマなんじゃないかと思って、僕もその世界を楽しみました」と語ったが、カイ自身も、向田作品らしい典型的な日本家屋で展開される家族ドラマの中で、驚くほど居心地良さそうに芝居をしている。
今回の試写会で披露されたのは、1月13日(土)夜10時から放映される第1話。約1時間にわたる上映の後、感動に浸る観客からの歓声と拍手に迎えられ、カイ、倉科、高畑、佐野の出演陣と河合監督の5人が登壇した。
今作はカイにとって初の主演作であり、初の日本でのドラマ、さらにWOWOWドラマ史上初の海外俳優の主演作という大役だ。オファーが来たときのことを、カイは「想像もできなかったことで驚いた」が、日本で初めての経験ができ、これまでの歌だけでなく、演技を通してもファンと触れ合えるということで「(撮影前から)本当にワクワクしていました」と語った。
以前、撮影終盤の彼にインタビューした際には、自らの日本語での演技に不安を見せていたが、作品ができあがった現在は「このように素晴らしい作品を作ることができて嬉しく思っています。このドラマを(やることを)選択したことは本当に良かったと思います」と満足そうだ。
2018.01.13(土)
文=CREA編集部