これ以上過酷な現場はないと思った
最新作『風の色』

――最新主演映画『風の色』の監督は、『猟奇的な彼女』で知られるクァク・ジェヨンさんでしたが、韓国人監督やスタッフとの撮影はいかがでしたか?

 特に海外の監督だから、という意識はなかったですね。環境は違っても、演じるということに関しては、まったく変わらないですから。ただ、撮影当日まで、どのシーンを撮るのか分からないところは、日本の監督との大きな違い。また、「これはいい風景だから撮りたい」という意見で追加の撮影シーンが入ることなど、中国での撮影に続いて、その場その場で、臨機応変に対応していかなきゃいけないのが大変でした。日本だと、普通は「何時に始まって、何を撮って、何時に終わる」というスケジュールがしっかり決まっていますし。でも、そういう慣れない状況で芝居をすることは、どこか刺激的でもありました。

――ちなみに、撮影中は寒さとの戦いだったようですね。

 バスタブに溜めた氷水に入るシーンは、本当に0℃近い氷水に入っているので、非常に大変でしたね。あと、1月の北海道で、脱出マジックのシーンを撮ったときも寒かったです。スタジオのプールにリアルに沈んで、手の縄を解いて水上に上がるシーンを撮ったときは、さすがに体調を崩して、倒れてしまったんです。それぐらい圧倒的に過酷な現場でしたし、この現場を超える現場は今後ないと思いますね。だからこそ、自分自身が強くなった作品だと思いますし、北海道の美味しい海鮮や監督が持ってこられた本場のキムチなど、ご飯を通してのスタッフとのコミュニケーションもいい想い出になりました。

2018.02.09(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=五十嵐堂寿