日本とは勝手が違う
海外の撮影スタイルを体験
――現地では“男神”とまで呼ばれる爆発的人気から、翌14年には日中合作ドラマ「不可思議な夏」に出演されます。
このときは、1日2時間ぐらいしか寝られなかったので大変でしたね。撮影ではなく、中国語のセリフに苦労しましたから。中国語を教えてくれる先生がついてくれるわけでもなく、ただセリフを喋っている音源を渡されただけなので、当時のマネージャーさんに「無理かもしれない」と弱音を吐いてしまうぐらい大変でした。音源通りにマネできたところで、どういうニュアンスで言っているのかが分からなかったんです。
――初となる中国での撮影はいかがでしたか?
演出家は日本人だったこともあり、芝居をするうえでは日本の現場とやっていることは変わらないのが救いでした。音声はアフレコ重視ですし、メイクさんは流行りからか、すぐにアイラインを引こうとするし、日本の撮影とは勝手が違うということが分かりました。でも、裏を返せば、日本がキッチリし過ぎているともいえるんです。日本のスタイルに慣れてしまっていたので、海外における“いい意味での適当さ”に慣れなくちゃいけないことを思い知らされました。
――そんな貴重な体験を経た後、日本でもさまざまな映画やドラマ、舞台に出演されます。なかでも、16年に出演した『ライチ☆光クラブ』でのリーダー・ゼラ役は大きな転機となったのではないでしょうか?
ゼラは、とにかくやりたかった役なので、時間を割いて台本と向き合うという準備作業を徹底的にやったんです。だから、現場に入っても特別難しかったわけでもなく、楽しく演じさせてもらいました。そういう意味では、転機になったというよりも、「もしかしたら、自分自身から大きく離れた役の方がやりやすいのかも?」と思えるようになった作品ですね。
~次回は、最新主演映画『風の色』についても語っていただきます~
古川雄輝(ふるかわ・ゆうき)
1987年12月18日生まれ。東京都出身。2010年「キャンパスター★H50withメンズノンノ」で、審査員特別賞を受賞。13年、主演ドラマ「イタズラなKiss~Love in TOKYO」が中国で大ヒットを記録し、アジア圏で圧倒的な人気を誇る。その後も、NHK朝ドラ「べっぴんさん」やNetflixドラマ「僕だけがいない街」などに出演。2018年3月には『曇天に笑う』、4月には『となりの怪物くん』の公開が控える。
『風の色』
東京で暮らす青年・涼(古川雄輝)は、亡くなった恋人ゆり(藤井武美)との思い出の品々を思いがけず手にしたことを機に、マジシャンになることを決意。ある日、自分と生き写しの人間がいることに気づいた彼は、生前のゆりの不思議な言葉に導かれるように北海道へ向かう。
http://kaze-iro.jp/
(C)「風の色」製作委員会
2018年1月26日(金)より全国ロードショー
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2018.01.26(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=赤塚修二
スタイリスト=五十嵐堂寿