富士山を眺める清流の街
三島を散策

富士山に降った雪や雨を源とする柿田川湧水群。コバルトブルーに見える湧水が神秘的。

 名湯と世界遺産を満喫した後は、ふたたび「いずっぱこ」に乗り三島へ。三島の近隣は、富士山からの雪解け水が湧く場所。なかでも知られているのが、柿田川湧水群だ。湧水というと山奥にひっそりとあるイメージがあるが、この湧水は国道沿いのアクセスしやすい場所にある。駅からバスで15分ほどなので、立ち寄ってみることに。

 一帯は自然公園として整備されていて、遊歩道を散策しながら、数十カ所の湧き出し口を見ることができる。ここはまさに水の楽園! 光を反射してコバルトブルーに輝く湧水や、砂の底から絶えず水が滾々と湧く様子を見ているだけで、パワーをチャージできそう。

左:名水百選、国指定天然記念物という肩書きを抜きにしても、ここはぜひ訪れたい場所。
右:水汲み場もあって、自由に湧水を持ち帰ることができる。訪れるならペットボトルは必携。

 富士山に降った雪や雨が地下水となり、十数年から百余年の時を経てじわじわと湧き出ているこの水は、無菌でミネラル含有。

 近郊の水道水はこの湧水が水源というから、うらやましいかぎり。公園内には、湧水を自由に持ち帰れる水汲み場もある。もちろん、私も自宅で水割りを楽しむべく、ペットボトルに詰めてお土産にした。

松尾芭蕉も「あじさいや 三島は水の 裏通り」と詠んだ、水の都、三島をそぞろ歩き。

 三島に戻ったのは夕暮れどき。街中を流れる源兵衛川沿いを、散策することにした。遊歩道に水車や水を汲み出す揚水ポンプがあったり、小さな橋が架けられていたりと、水の都ならではの風情たっぷり。川の中にも飛び石の足場が設けられていて、清流を感じながら歩くのが気持ちいい。

遊歩道や石橋のある源兵衛川沿いを散策。

 周辺には、その風情に寄り添うような雰囲気のカフェやレストランもある。この界隈はイタリアンが多いのだそう。水がおいしいのはもちろん、箱根西麓三島野菜や、隣の沼津で獲れる駿河湾の新鮮な魚が手に入る土地だけに、それも納得。

 三島の名物は鰻だけではないのだ。私もこの日の夜は、おいしいイタリアンを川沿いのレストランで満喫した。

2017.07.25(火)
文・撮影=芹澤和美