1年で階段を1段上がれば、いい

――やはり、映像とは違った舞台の醍醐味みたいなものは感じられているのでしょうか?

 やり直しのきかない緊張感は、舞台ならではの醍醐味ですね。もちろん映像の仕事でもNGを出してはいけないんですけど、そのときは大きな声で「すみません! もう一度お願いします」と謝ります。舞台はそれが絶対にできないし、お客さんのリアクションもその場で感じ取ることができる。ここ何年か舞台が怖かったんですけど、1本2本とやるうちに、気持ちよくなってくるんですよね。あの感覚を一度味わうと、ハマりますね。

――昨年、結婚してお子さんが生まれたことで、俳優としての意識は変わりましたか?

 役者として稼いで、家族を養っていかないと、という部分はもちろんあります。ただ、来年30歳になるにあたって、逆に今と変わっていたくない気持ちも強いですね。1年で階段を1段上がれれば、いいんです。将来的には阿部寛さんのように、スゴくカッコいい渋い役もできて、三の線もできる、そういう大人の役者になりたいです。あと、役者としてじゃなくて、僕のさんまさんに対する想いのゴールは、「さんまのまんま」に呼んでいただいて、サシで話ができるようになることですね。

川村陽介 (かわむら・ようすけ)
1983年6月5日、埼玉県生まれ。178cm・63kg・AB型。2000年、「21世紀ムービースターオーディション」で審査員特別賞を受賞。01年『死者の学園祭』で映画デビューし、07年の「新宿スワン」でドラマ初主演。08年「ROOKIES」でブレイクし、 09年『ランディーズ』では映画初主演を務める。

『池田屋・裏 2012』
元治元年六月五日、京都の旅籠・池田屋。各藩の有能な志士達が会合を開くなか、突如「御用改め!」の声が響き渡り、新撰組が突入する。世にいう池田屋事件が勃発するが、池田屋のちょうど裏手にある民家では、何も知らず祭り気分に酔いしれていた……。
www.guwalinyaon.com/next.html
3月23日(金)~3月27日(火) 天王洲 銀河劇場にて上演

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2012.03.07(水)
text:Hibiki Kurei
photos:Tadashi Hosoda