「ROOKIES」「南極大陸」撮影秘話
――さて、ハマリ役となり、ブレイク作ともなった「ROOKIES」の桧山役ですが、これもオーディションだったのですか?
じつはオーディションではなかったんです。「ROOKIES」をドラマ化するという話を他人事のように聞いていたのですが、まさか原作をガッツリ読んでいた自分が演ることになるとは、という感じでした。
単純に、出れることがうれしかった。それまで僕、ヒゲを生やしてなかったんですが、プロデューサーさんから「お前を桧山に決めたけれど、ヒゲを1ヶ月で生やせなかったら役から降ろす」と言われたんですよ。だから必死でしたよ。あと、ガタイが良くてケンカが強いという桧山のキャラに説得力を持たせるため、プロテインを飲んで筋トレして、体重を7キロぐらい増やしましたね。でも、いちばんの課題は野球の経験がなかったこと。だから、最初は硬球が怖かったですねぇ。
――ドラマは映画化され、社会現象にもなりましたが、そこまでの人気作に出演したことで、川村さんの周辺は大きく変わりましたか?
そうですね。それまでは僕のファンの方から声をかけてもらうということはあっても、「作品を見た」と、声をかけてもらうのは初めてで、これはうれしい出来事でしたね。ニコガク(二子玉川学園高校)のメンバーは相変わらず仲いいですよ。去年はバタバタして会うことができなかったけれど、毎年忘年会をしてるぐらい。いちばん連絡を取り合っているのは、五十嵐隼士。隼士は現場でも一緒にいることが多かったし、なんか人懐っこいんですよ。僕より年下のくせに、ときにバカにしてくるんですが、それも心地良かったり(笑)。
――昨年放送された、ドラマ「南極大陸」はさらなるキャリアを築くことができた作品になったのではないでしょうか?
「ROOKIES」から多くの作品をやらせていただけるようになって、自分が入るポジションが変わってきたことで、一歩ずつ上がれればいいなと思えるようになっていたんです。だからあの作品で、大先輩たちに囲まれて芝居ができることはラッキーでしたね。ただ、現場に入る前はプレッシャーでビビってました。しかも、木村(拓哉)さんとの最初の絡みのシーンは、木村さんに対して文句を言うようなセリフでしたから。でも、寺島進さんが「お前の本心で言ってるわけじゃないから大丈夫」と励ましてくださったり、みなさん面倒見のいいお兄さんなんです。すでに2度、ゴルフ・コンペが行われてるほど、みなさん仲がいいですし、僕もこういうステキな人たちに仲間入りしたいと思いました。
2012.03.07(水)
text:Hibiki Kurei
photos:Tadashi Hosoda