寿司職人歴30年! アメリカンなメニューもうまい
中学を卒業後すぐに寿司店に就職した学さん。
20台前半で仕事を覚えた彼は、海外進出を考えていた。25カ国にもなるだろうか、世界中の和食レストランに手紙を書いた。そのなかで、唯一連絡をくれたのがLAの寿司和食レストランの社長だった。学さんは、初めてパスポートを取り、初めての飛行機に乗った。
「いまから30年前ですからね、寿司がブームになりかけた頃。日本人の板前なんて珍しかった時代ですよ」
学さんをすっかり気に入った社長は、ビザサポートどころか永住権まで取らせてくれた。
その後、日本の有名店からも引き合いがあったが、新天地として彼が選んだのはハワイ。人気店の二番手として勤めたのち、10年前に独立。楽をオープンした。
そんな話を伺っていると、なにやらすごい一品が運ばれてきた。
「はい! 今日おまかせでやらせてもらいました!」
マグロ、雲丹、赤貝、鮑など、豪華な盛り合わせは、ほれぼれとする美しさ。
「ハワイでは手に入らない食材が使えるのが楽しいですね。いろいろ冒険ができる」と語る学さんの真骨頂はやはりお寿司。
1巻400円からさまざまなネタが揃うが、おまかせにするのも面白い。この日はお任せ寿司10巻(3,800円~)を注文。烏賊、コハダ、太刀魚、鯵、ノドグロ、ズワイガニ、漬けイクラ、アナゴ、雲丹、炙りトロガーリック醤油など。
LAのレストランで覚えたカリフォルニアロールも押さえておきたい。カリフォルアニロール(950円)、スパイシーツナロール(600円)。
同席した料理研究家が「これ、すごいおいしい!」と声をあげた一品。握りとはまた違ったシャリのモチモチとした食感が新鮮。
もうし少しなにか食べたい向きには、馬刺し三点盛り(1,350円)もおすすめ。その日によって入荷するものに違いがあるが、ユッケ、霜降り、味噌漬けなどが盛り合わせになる。
自家製チャーシュウ(700円)や自家製の肉焼売(550円)もうまい。
フィレミニヨンステーキ(2,300円)はハワイでも人気。ガーリックバター醤油のソースが、再び食欲を蘇らせてくれる。
最後は汁もので〆たい人には、ダシが利いた味噌汁(380円~)を。稲庭温うどん(800円)も用意されている。
さらに、デザートまで調えているから、女子、いやスイーツ男子にもありがたい。この日はカスタードプリン、コナコーヒゼリー、あまおうのシャーベット。
ハワイ店と違い、いまなら予約も普通に受けつける東京店。並ばずとも、この味を楽しめる。近所にあったならば、週イチで通いたい店だ。
最後に、カウンター越しに学さんの写真を撮らせてもらう。
カウンター席にいた上品なカップルがほほ笑みながらこちらを見ている。
「お邪魔してすみません」というと、「いいよ、いいよ。いい店だよね、ここ」
こんな空気感もすっかりハワイ本店の雰囲気。すでに常連になっているご近所さんなのだろうな。
なんだかとてもうらやましく思った。
Sushi Izakaya Gaku Hawaii
(寿司居酒屋 楽ハワイ)
所在地 東京都世田谷区尾山台3-23-12
電話番号 03-6805-9340
営業時間 17:00~23:00
定休日 月曜
予算 夜 7,000円~
[2017年1月訪問]
Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。
Column
新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り
ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!
2017.02.20(月)
文・撮影=Keiko Spice