老舗から移動カフェまで
サードウェーブコーヒーを満喫
ジャズが流れる店内、カウンターの中にずらりと並ぶコーヒーカップ、蝶ネクタイ姿のマスターが丁寧に淹れる自家焙煎のコーヒー……。そんな古きよき時代の喫茶店を思わせる「珈琲茶話」は、創業40年になる、地元で愛され続ける老舗カフェだ。
店内はいつもふんわりと珈琲のいい香り。ブレンド以外にも、マンデリンやキリマンジャロなどが楽しめる。
それにしてもなぜ、気鋭のカフェから老舗まで、天草にはこれほどのコーヒー文化が根付いているのだろう。カウンターでコーヒーを飲みながらマスターに訊ねてみると、「天草は陶磁器の生産が盛んなところ。土地柄、陶器のカップで紅茶やコーヒーを飲む文化が根付いたのかもしれないですねえ」。
なるほど、たしかに天草は、陶石の埋蔵量と品質で日本一を誇る場所。素敵なカップがあるから、コーヒーを飲みたくなる、というわけか。
右:ギャラリーも兼ねた店内の壁には、天草在住アーティストの作品が展示されている。
そんなふうに、マスターとカウンター越しに会話をするのも楽しみな、このお店。ほぼ無休で、お正月とお盆合わせて年に数日しか休まないのだとか。朝から途切れなく常連さんがやって来るけれど、旅行者でも入りやすい雰囲気。
ちなみに、ランチや軽食メニューもあって、食事もできる。次に訪れるときは、天草の人が口を揃えて「おいしい!」という、クロックムッシュサンドの「茶話サンド」を食べてみようと思う。
珈琲茶話
所在地 熊本県天草市古川町11-10
電話番号 0969-23-4747
営業時間 10:00~23:00
定休日 ほぼ無休
天草を訪れるたび、出会いを楽しみにしているのが、焙煎も手がける移動カフェの「楽園珈琲」。マイルドでシンプルだけど、ほっとするあの一杯を飲むと、「大好きな天草に戻ってきたんだなあ」という気持ちになる。
右:「コーヒーは自然からの贈り物」と本山さん。半熱風式焙煎機でローストした後、味、色、香りを丁寧にチェック。
カフェは移動式というスタイルながら、焙煎所は美しい海の近くに構えている。オーナーの本山秀樹さん、美和さん夫妻は、天草の海をこよなく愛するサーファー。海へ向かう前の高ぶる気持ちを抑えたり、海から上がった後に波を回想したりしながら飲める、身体に優しいコーヒーを追求して、今のテイストにたどり着いたのだそう。
楽園珈琲
[自家焙煎所]
所在地 熊本県天草郡苓北町白木尾159-3
電話 090-2483-2105
営業時間 9:00~17:00(来店前に電話を)
定休日 不定休
http://rakuencoffee.com/
2017.02.07(火)
文・撮影=芹澤和美