いきなり松田翔太主演作で、監督デビュー
――しかも、12年には人気コミックを松田翔太主演で映画化した『アフロ田中』で商業監督デビューされました。
僕の舞台を見に来ていたのが、『アフロ田中』のプロデューサーだったんです。主人公と同世代の若手監督を探していたところで僕の名前が挙がったようです。近いテーマで舞台をやっていたので、それで自主映画を観てもらって……。最初お話をもらったときは、ネタ出しとかをする脚本助手だと思っていたので、ホントにビックリしましたね。
――公開後、作品の評価とともに、映画監督として評価を受けたことをどう捉えましたか?
正直あまり実感はなかったですが、今まで、いくら企画書を出しても見向きもしなかった人から「松居くん、一緒にやろうよ」と言われたときは嬉しかったです(笑)。でも、そういうのは進展しなくて……。自分から持ち込んだ企画の方が実現していますね。
――その後、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』のような作品をインディーズで撮ったと思えば、『スイートプールサイド』のような商業作品も手掛けますが、そのバランスについてはどう思われますか?
僕自身、インディーズ映画のムーブメントのようなものに対する憧れがあったし、あの世界は映画好きのお客さんの声がダイレクトに聴こえてくるんですよね。お金の問題はあるけれど、本当に好きなことができるし、居心地が良くて。でも、そこ出身ではないから、どっちにも重心を置かないよう意識的にやっています。
2016.11.25(金)
文=くれい響
撮影=深野未季