vol.29_HELENA RUBINSTEIN
ヘレナのマスカラには「はじめて物語」がいっぱい
今回はヘレナ ルビンスタインのマスカラ篇。CREA世代にはラッシュ クイーンがお馴染みだと思うけれど、110年を超える歴史(ブランド創立は1902年)の中で数々の傑作マスカラを生み出してきた。
「創始者のマダム ヘレナ ルビンスタインは世界中の女性を美しくしたいと願い、世の中にない化粧品を作るために情熱を注いできました。マスカラの開発でもさまざまなチャレンジをしていて1939年に世界初のウォータープルーフ処方のマスカラを発表。当時はチューブに入ったマスカラ液を、ブラシにとりだしてつけるというものでした。1958年には世界初となるブラシ一体型の「マスカラ マティック」が発売に。ヘレナ ルビンスタインが脚光を浴びる最初のマスカラとなりました」と話すのはヘレナ ルビンスタイン マーケティング部 プロダクト マネージャーの青木太維さん。
マスカラ マティックは1964年に「ロング ラッシュ マスカラ」と名前が変わり、以来50年以上にわたって愛され続ける現役選手。写真の一番右側のマスカラがそれ。シルク繊維が配合され、短いまつ毛も長く、セパレート。金属製のコイル状ブラシで劣化しにくいためレフィルが発売されているのは今やこれだけかも。
「細身のブラシで塗りやすいと根強い人気があります。他のマスカラを使っても仕上げはロング ラッシュでというお客様も多いんですよ」(青木さん)
新旧交代が激しいマスカラ界で生き続けること自体が奇跡。こうした名品を大事にしながら革新的なマスカラを作り続けるヘレナの開発力。マダムの情熱とこだわりが脈々と息づいているようだ。90年代には、驚異的なロングまつ毛を叶えるスペクタキュラー マスカラ、超カール効果のヴァティジニアス マスカラ(お世話になりました!)など仕事人が続々と登場。そして2004年、ボリュームマスカラ時代の幕開けを飾る“まつ毛の女王”が誕生する。
2016.11.02(水)
文=吉田昌佐美
撮影=吉田健一