お客さんと話すのは、マレーシアの文化を知ってもらいたいから

2015年、常連客であった編集者と一緒に『マレーシアのおいしい家庭料理』(マイナビ出版)というレシピ本を出版。故郷マレーシアの料理をもっと多くの人に知ってもらいたい、と願っている。

 「開店当時からの常連さんが何人もいます。その人たちとはもう家族ね」とエレンさん。口コミで地道にお客さんを増やし、開店から16年経った今では、横浜、埼玉、関西から通う常連も多数。それは、料理の味もさることながら、エレンさんの人柄に惹かれるから。

 エレンさんは、来てくれた人ひとりひとりに必ず話しかけます。「食事も会話のひとつ。ご飯を食べながらマレーシアの良さを知って欲しい。だから色々話したい」。料理を覚えれば、マレーシア人と会話ができるようになる。「バクテーが好き。フィッシュヘッドカレーを食べたことがある。そう話しかけたらマレーシア人は喜ぶよ」とエレンさん。

大通りに立つこの看板を見つけたら、左側の階段を降りよう。右側の入り口を一歩進めば、そこはもうマレーシア!

 荻窪の地下で16年。大人ひとりが動くのが精いっぱいの小さな厨房で、エレンさんは毎日仕込み、お客さんを笑顔で迎える。その毎日は、開店当時から今もまったく変わっていません。だから今日も、誰かが「ただいま!」とエレンさんに声をかけるのです。

馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)
所在地 東京都杉並区天沼2-3-7 SAKAIビルB1F
電話番号 03-5938-8633
営業時間 18:00~23:00(土・日 16:30~23:00)
定休日 月曜
http://malayhu-ko.com/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2016.10.23(日)
文・撮影=古川 音