マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

「ただいま!」と言いたくなるマレーシア料理店

 今回は東京のマレーシア料理店に注目。荻窪の地下に店を構えて16年! マレーシアの美食の町、イポーからやってきたエレンさんの店「馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)」。JR荻窪駅から徒歩5分の場所にあります。

店はビルの地下。開けっ放しのドアにはマレーシアの国旗が飾られている。2000年の開店時からずっとここで営業。

 席はたったの13席。そろりそろりと慎重に歩かなければ何かにあたってしまいそうな小さな店内に、マレーシアの空気が濃~く充満。ココナッツミルクやスパイスといった料理の香りに、エレンさんとお客さんのにぎやかな話し声。まるで、マレーシア人の家に遊びに行ったときのような独特の開放感と心地よさが、ここにはあります。

店主のエレンさん。24歳で店をスタート。仕入れから調理、会計まで、ほぼすべて1人で切り盛り。

 レストランで働いていたお母さんのかわりに、12歳のころから家事を任されていたエレンさん。台所仕事が大好きで「母にレシピを聞いて、たくさんの料理を作りました」と。このときに弟や妹のために作った家庭料理が、現在の「馬来風光美食」の味の核。いわゆるメジャーなマレーシア料理だけでなく、家庭で食べられている“お母さんの味”が楽しめるのも、この店の魅力なのです。

 さて、この店には50種以上のメニューがありますが、ダントツの人気を誇る“ビッグ3”があります!

2016.10.23(日)
文・撮影=古川 音