マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

日本でも、食卓には毎日マレーシア料理が並ぶ

マシータ・ユノスさん。マレーシア、ジョホールバル出身。マレー語、マレーシア料理教室の講師、タレント活動など多方面で活躍。

 今回は、いつものごはん紹介からちょっと趣向を変えて、日本で暮らすマレーシア人にインタビュー。登場するのは、日本在住30年のマシータ・ユノスさんです。彼女はマレー民族のイスラム教徒で、「豚を食べない」「アルコールを飲まない」など、“ハラル”という食のルールを守って生活しています。また、料理が得意で、マレーシア料理の先生としても活躍。日本での食生活の様子や祖国マレーシア料理の魅力、簡単にできるマレーシアのおやつのレシピもうかがいました!

――日本に暮らして30年のマシータさん。マレーシア料理と日本食、どちらをよく食べますか?

 断然マレーシア料理です。外食では、イタリアンや日本食も食べますが、夕飯はほぼ毎日、家でマレーシア料理。主人は日本人ですが、辛い料理が大好きで、結婚して27年間、飽きずに付き合ってくれています。日本食も嫌いではありませんが、ちょっと物足りないんです。

――マシータさんの得意料理を教えてください。

「ジョホール・ラクサ」です。ラクサは、地域によってさまざまな味がありますが、私の生まれ故郷であるジョホール地方のラクサがいちばんおいしい! カレーラクサやアッサムラクサとはまったく違っていて、使う麺はスパゲティ。サラダパスタのような味なんです。爽やかなハーブの香りと海鮮のうま味がきいたタレをかけ、激辛の唐辛子ペースト(サンバル)をアクセントに。その上に、キュウリ、玉ねぎ、もやし、大葉等の生野菜をたっぷりのせ、さっぱりといただきます。

マシータさん手作りの「ジョホール・ラクサ」。海鮮やハーブ類はミキサーで砕いて、そのままタレに。ジョホール・ラクサは、宴のときに家庭で作るお祝い料理なので、本場ジョホールでもお店では提供していない。

 カレーもよく作ります。ちなみに、日本でもカレーを食べるときは“手”です。スプーンで食べるより、そのほうがおいしいんです。息子も自然に手で食べます。マレーシアの食文化を受け継いでくれてうれしいですね。

「マレーシア料理は、作り続けないと腕がおちる」とマシータさん。そのため毎日マレーシア料理を作り続け、料理本で見つけた新しいレシピにも挑戦している。

2015.10.03(土)
写真提供=マシータ・ユノス
文・撮影=古川 音