30年間欠かさず作っているのは、自家製のサンバル

――日本でマレーシア料理を作る際に必要な食材を教えてください。

 チリ・クリン、ウダン・クリン、イカンビリス、アッサムジャワ。訳すと、乾燥唐辛子、干し海老、煮干し、タマリンドペーストの4種。これらは日本でも最近は購入できますが、昔は帰国するたびに、スーツケースいっぱいに持ち帰っていました。

 また、わが家に常備しているのが、自家製のサンバルです。2週間に1度ぐらい大量に作り、冷凍庫で保管。これさえあればアッという間にマレーシア料理が完成します。野菜炒めに加えればピリ辛のサンバル炒めですし、チャーハンに加えればナシゴレン。マレーシア人なら、どこの家庭でも必ずあると思います。

マシータさん手作りのサンバル。唐辛子、ブラチャン(発酵海老のペースト)、タマリンド(甘酸っぱい豆科の実)、塩、砂糖が材料。

――日本食の印象について教えて下さい。苦手な和食はありますか。

 納豆‼ 主人が食べたあとの容器を洗うのも嫌、スーパーに並んでいるのを見るのもダメです。でも30年前、人生ではじめて納豆を見たときは、おいしそう~と思ったんですよ。ところが、醤油をかけずに口に入れてしまって……。醤油のかかっていない納豆は、いやぁもう! その苦い経験から今でも食べられません。あのとき誰かが、醤油をかけて食べなさいと教えてくれたら、もしかすると私の納豆人生は変わっていたかもしれません。

ラベンダー畑で初孫と一緒に。

――日本の食生活で苦労したことはありますか?

 私はイスラム教徒なので、ハラルでないものを口にすることはできません。加工品がハラルかハラルでないのかを見分けるためには、成分表の日本語を正確に把握する必要があります。豚肉を使っていないか、アルコールを使っていないか。レストランでも気になるときはその都度確認しています。パンやお菓子はできるだけ手作り。そのほうが安心です。

2015.10.03(土)
写真提供=マシータ・ユノス
文・撮影=古川 音