若く情熱的な映画作家と新しい波を作りたい

――着実にキャリアを積み、このポジションまでたどりつくことは俳優として理想といえますが、ここまで来ることができた理由は何だと思いますか?

 ミュージシャンや芸術家などのアーティストは、自分のスタイルを持った方がいいといいますが、俳優の場合は毎回役になりきることで、自分のスタイルを変えていくことがいちばん大事なことだと思います。僕は若いときに、SFやホラー、アクション、ファンタジーといったさまざまなジャンルで、さまざまな役に挑戦することで、芸を磨くことができた。その経験が『キング・オブ・エジプト』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』といった大作への出演に結びつくことになったんだと思っています。

――今後、三十代を迎えるにあたり、どのような俳優になりたいと思いますか?

 俳優としては、先に挙げた先輩たちのようになりたい。そして、将来的には自分で脚本を書いて、監督をしてみたい。また、『シグナル』のウィリアム・ユーバングや、『The Witch(日本未公開)』のロバート・エガースといった、若く情熱的な映画作家たちと一緒に、新しい波を作ってみたいとも思っています。

Brenton Thwaites(ブレントン・スウェイツ)
1989年8月10日生まれ。オーストラリア・クイーンズランド出身。クイーンズランド工科大学卒業後、俳優デビュー。その後、ハリウッドに渡り、『青い珊瑚礁』のリメイク『ブルーラグーン~恋の目覚め~』に主演後、フィリップ王子を演じた『マレフィセント』で注目を浴びる。

『キング・オブ・エジプト』
人間と神が共存する古代エジプト、人々は天空の神ホルス(ニコライ・コスター=ワルドー)から王座を奪った、砂漠の神セト(ジェラルド・バトラー)の圧政に悩まされる。そんな中、セトの神殿の宝物庫に侵入した盗賊ベック(ブレントン・スウェイツ)は、光る球体を奪う。
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(C)Photo Courtesy of Lionsgate.
2016年9月9日(金)より、大ヒット上映中
http://gaga.ne.jp/egypt/

くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2016.09.16(金)
文=くれい響
撮影=鈴木七絵