毎日来たくなる! 同じ料理が全く違って感じるペアリングとは?

ミントとすだちのドレッシングは爽やかでほどよい酸味。完熟マンゴーをサラダにしてしまうその感覚が面白い。

 近所の星付き料理長からも絶賛された、「マンゴーと水牛のモッツァレラのサラダ」と「讃岐くらうでぃ」のペアリング。

 まずはお酒を一口。「あぁ、美味しい!」。少し乳酸飲料っぽい、ちょっとゴクゴク飲めてしまう感じ。

 続いてマンゴーを。なんと! お酒に深みがグッと出た。乳酸は甘味との相性が良く、酸味をまろやかにしてくれるそう。だから甘いマンゴーと酸っぱい柑橘系ドレッシングに合わないわけがないって術。はい、まんまとハマりました。

料理はお酒から生まれることも。ペアリングの醍醐味を感じる瞬間。

 次は色鮮やかな「真鯛のポワレ グリンピースソース」が登場。

 これは本当に豆の旨さが際立っています。ソースだけでも丼いっぱいいただける味。もちろんお魚もお野菜も美味しいのですが、いやはやソースが素晴らしい!

 そして「花陽浴(はなあび)」を飲むと……、ん? これ正解? 2秒後……、あぁ、大正解!

 直球でわかる味ではなく胃の中でマリアージュする感じ。繋ぐ秘密はパイナップルですって!

 しかもお客さまから「花陽浴」に合う料理をリクエストされてできたもの。あまりに評判が良かったので定番にしたって話。いいな、このライブ感。

ポーション大きめなのでお腹は十分満たされます。客が楽しいと思う料理を目指す。

 魚ときたから次はお肉へいきたくなりますよね。ど~んと大皿に盛られた柔らかなハンガリー産の鴨は、茄子とみょうがのソースがぴったり。

 お肉自体も美味しいけれどシャキシャキとした食感があるお野菜を集めたところがツボ。料理は意外にさっぱりした味で、この爽やかなのに飲んでいるうちに柔らかな旨味が深くなる「仙介 純米大吟醸」が生きてくる。相乗効果ってこういうことね。

 お客と一緒に進化していくお店って楽しいですね。料理とお酒って切っても切れない仲。お互いが最高のパートナーだと言い切る。

 お客とお店の関係も同じなのかもしれません。お互いが育て合う、「最高のペアリング」ってすごく素敵なことだと思いませんか?

〆は鮪漬け丼と浅利の赤だし。ハマグリかと思うほど大きい浅利でした。

赤星とくまがい
所在地 東京都港区麻布十番3-3-9 コムス麻布十番ビル7F
電話番号 03-6459-4589
営業時間 18:00~3:00(L.O. 2:00)
定休日 日曜、祝日
予算 熊谷のお任せ料理7品 7,500円、赤星の日本酒ペアリング6種 3,500円、マンゴーと水牛のモッツァレラのサラダ 1,300円、真鯛のポワレ グリンピースソース 2,500円
[2016年5月訪問]

高橋綾子(たかはし あやこ)
東京都生まれ。フードバプリシスト。国内外ファッションブランドのPR時代に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2016.06.27(月)
文・撮影=高橋綾子