このネット社会では情報操作は難しい
伊藤 ビジュアル的にもったいぶって神秘性を持たせた成功例はありますが、あまり素性を隠して上手くいったケースはないように思うのですが……。特にこのネット社会で情報操作は難しい。あと気になるのは、いろいろと彼女の記事を読んで時系列を逆算すると、彼女ってけっして若くない、たぶん27、8くらい? 誤解してほしくないんだけど若くないというのは、アーティストとしてデビューするにしては、という意味。2011年のオーディションで落選して今を時めくFlowerなどにはなれず、5年たってやっとソロシンガーとしてデビューとなると、よく言えば5年間温めてきたアーティスト、逆にいうと崖っぷちともいえるように思う。でも、もし彼女が“遅咲きアーティスト”として成功することがあれば、いまプロのアーティスト志望で活動している多くの20代後半のシンガー達を勇気づけることになるかも。
山口 今回は珍しく、伊藤さんが裏事情を掘ろうとしていますね(笑)。よほどLeolaに興味があるんですね?
伊藤 歌もビジュアルも興味ありますよ(笑)。MVを見る限り、ギタ女である彼女と事務所のLDHはいい感じでハモっていて、ちゃんとカッコイイ。それに同じくLDH所属アーティスト、Flowerで成功をしているソニーミュージックは当然力を入れているだろうし、これからどんどん攻めてくるように思う。LDHがダンスグループだけでなく、ソロアーティストでも勝てるのか? これからが楽しみです。
山口 同感です。日本のダンスシーンを牽引しているLDHが、一般層に対してダンスで魅せる楽曲の幅を広げる、自分たちの領域を拡大しようとしている、そんな意図すら感じました。
さて、この楽曲からは、どんな妄想分析が生まれますか?
伊藤 どしゃぶりの朝、私の心は10トンの憂鬱。いつもの道を這い、丘の上のビルヂングを目指す。急な坂はまるで壁のように聳え立ち、ふくらはぎに跳ね返る泥はまるで制御のきかない墨汁のように下手な慣用句を書き続ける。もう限界だ、と叫びたくなった瞬間、タラー!
目の前に現れた光芒、そのど真ん中には端から端までくっきりと7色の放物線を描いた虹。これは希望という名のセレンディピティ、お願いだから伝説の消えない虹であってくれと懇願する。
ビルヂングの前に2つ並ぶ、主人を失った長靴、骨の折れた赤い傘は茶色のグラウンドの前に鮮やかだ。それを見下ろす私の足は、虹の背中をしっかりと捕まえている。この虹は消えない、そう思うと虹は私の道となり、どこにでも歩いて行ける。
山口 Leolaへの興味が感じられる妄想分析ですね。
Leola「Rainbow」
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ 2016年4月27日発売
初回生産限定盤[CD+DVD]1,389円、通常盤[CD]926円、期間生産限定盤[CD]463円(税抜)
■Leolaというアーティスト名は、ハワイ語で「声」を表すleoと「太陽」を表すlaを組み合わせたもの。影響を受けたアーティストは、ミシェル・ブランチ、シェリル・クロウ、ジョン・メイヤーなど。「Rainbow」のミュージックビデオは、総勢30名のダンサーとのコラボレーションをカメラ1台による1シーン1カットで撮影している。
■「Rainbow」作詞/Leola 作曲/Nozomu.S、SoichiroK
■オフィシャルサイトURL http://www.leolalala.com/
【動画サイト】
「Rainbow」
URL https://www.youtube.com/watch?v=w9quViKgrQE
2016.04.14(木)
文=山口哲一、伊藤涼