13歳で俳優に、芸能界入りのきっかけは…
現在、夏帆は34歳。13歳で俳優の仕事を始めて、そのキャリアはすでに21年を数えます。芸能界入りは小学生のときに原宿でスカウトされたのがきっかけでした。それからCMなどの仕事を経て、ドラマ『彼女が死んじゃった。』(2004年)で俳優デビューしてからというもの、ドラマや映画にあいついで出演するようになります。16歳のときに公開された映画『天然コケッコー』(2007年)では、映画各賞で新人賞を獲得し、一躍注目を集めました。
ただ、10代の頃は仕事に対して欲がなく、事務所が選んだ作品で必死に演じるばかりだったといいます。当時のインタビューでも《(女優という仕事が)夢中になれることなのか、向いているのかどうか、まだわからない。わからないだらけ。でも、なんかいいなあって思える瞬間がある。それががんばろうって思える原動力になっているんでしょうね》と話していました(『ダ・ヴィンチ』2008年4月号)。
「なんかいいなあ」と出演するたびに感じられたのは、監督やスタッフとの出会いに恵まれたからでもあるのでしょう。おかげでこの仕事に魅力をだんだん感じられるようになり、《20代に入ってからは好きなものが自分の中で明確に見えてきました。それからは、お仕事を自分の意思で選ばせていただくようになったんです》とのちに振り返っています(『サンデー毎日』2018年6月3日号)。
先輩女優の手紙に励まされた
ただ、それ以降も悩むことはしばしばあったようです。23歳で映画『海街diary』(2015年)を撮影していたときには、《望んで選んだ道を進んでいるはずなのに『自分はこの先、どこに向かうのかな?』とどこか不安があって、同時に理想に追いついていない自分が許せなくて。ものすごく自分が嫌いで、苦しかった》と、のちに明かしています(『Hanako』2022年5月号)。それがクランクアップのとき、4姉妹の役で共演した長澤まさみからもらった手紙に励まされ、《私は、こういう言葉を誰かに言ってほしかったんだなって、少し心が軽くなった》のだとか(同上)。
それまでずっとロングだった髪を切ってショートにしたのも、『海街diary』がカンヌ国際映画祭に出品され、レッドカーペットを歩いたときでした。演じる役もそれまで清楚な役が多かったのが、このころから幅が広がっていきます。
夏帆は27歳のとき、あるインタビューで「この先、どんな役者を目指していますか?」と訊かれ、《その時どきに求められる役者ではありたい。もちろん制作側からもそうですが、作品を作っても観てもらわなければ意味がないので、劇場に足を運びたいと思ってもらえるように、常に興味を持ってもらえる役者でありたいと思います》と答えていました(『anan』2019年3月6日号)。
その後の出演作を見ると、まさにそのとおりになっています。映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019年)には、箱田優子監督から、自身の経験を反映した役を演じてほしいと手紙をもらい、出演を決めました。
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- 文=近藤正高
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