ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)が今夜、最終回を迎えます。主人公の山岸鮎美と海老原勝男は同棲から結婚へ秒読みに入っていたのが、初回でいきなり別れたあと、それぞれ考え方や行動に変化が表れ、お互い人間として成長していくことになりました。

鮎美を演じる上で苦戦した部分

 ただ、竹内涼真演じる勝男の変化が、それまで一度もしたことのなかった料理にハマり、それにともない考え方も行動も変わっていくという具合に、ある意味わかりやすかったのに対して、夏帆演じる鮎美の変化はすぐにはっきりと表れたわけではありません。別れを切り出したのは鮎美からだったものの、勝男からその理由を訊かれても「勝男さんにはわからないと思う」とシャットアウトし、二人できちんと話し合おうとはしませんでした。おそらく彼女のなかでも、勝男の何が不満なのか、まだはっきりと説明できるまでわかっていなかったのでしょう。

 そもそも鮎美は子供のときから基本的に受け身の性格で、他人に合わせながら生きてきました。勝男と別れた直後、髪をピンクに染めたのも、そのころ出会った美容師の渚(サーヤ〈ラランド〉)の勧めによるものでした。それでも、酒屋のミナト(青木柚)との出会いなどを通じて、彼女もしだいに“自分らしさ”に目覚めていきます。

 こうして振り返ってみると、鮎美はかなり難しい役といえます。実際、演じる夏帆自身も“鮎美らしさ”とは何なのか、撮影に入ってからもしばらくつかめなかったようです。ドラマ開始直前のインタビューでは、《「勝男の理想の彼女」以外に、鮎美らしさが見つけられなかった。それは、演じる上で苦戦した部分でした。でも、鮎美は恋人である勝男と別れることで、自分自身と向き合っていくので、鮎美を演じる上でも、“わからない”という状態からスタートしたことは正解だったのかなと思います》と語っていました(「CLASSY. ONLINE」2025年10月7日配信)。

 夏帆にとっては、鮎美のように男性にどう好かれるかをモチベーションに生きてきた役どころも初めてでした。それだけに、鮎美と自分自身がなかなか結びつかず、演じている姿がイメージできなかったといいます。それでもスタッフたちと相談しながら、一緒に鮎美というキャラクターをつくっていったのだとか。

次のページ 13歳で俳優に、芸能界入りのきっかけは…