【1989】『anan』「セックスで、きれいになる。」が反響を呼び、性美容がトレンドに
1989年『anan』の「セックスで、きれいになる。」は女性誌の歴史に残る名企画。美容を絡めることで性を語る後ろめたさを払拭する見事な発想だ。しかし97年には“愛のあるSEX”へ転換、2001年には企画そのものを封印した。
東電OL殺人事件や女子高生の売春、さらには猟奇的な性犯罪が相次いだことで、メディア全体に性表現を控える機運が高まったためと見られている。
数年後には「恋に効くSEX」などの形で復活させているが、女性誌のSEX特集は世の中への影響を鑑みながら紆余曲折、次第にコンプラ対策を余儀なくされているのが現実なのだ。
【1991】女性誌で大々的にゲイ特集を組み、異性愛以外を唱えたのは『CREA』だった
ダイバーシティーが進み、1つの必然となった同性愛。だが34年前にゲイ特集を組むって恐ろしく勇敢なこと。そこに挑んだのがじつは『CREA』だった。
ましてや当時はHIVへの過剰な恐怖が世の中に蔓延していた頃。特集が組まれた年、クイーンのフレディ・マーキュリーがエイズを公表した翌日に死去している。
それだけにこの特集は衝撃とともに、様々な愛の形があることを真正面から世に知らしめ、差別や偏見に抗う勇気をもたらした。本来雑誌が担うべき重要な使命を、リスクを負いつつ果たした極めて尊い挑戦だったと思う。
CREA 2025年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
