ズッシリと聴きごたえのある歌詞が光る
伊藤 なるほど、ギブアップしたのがバンドなのかレコード会社なのか真相はわからないけど、インディーズに戻ってからの彼らの楽曲や表現の仕方はカッコ良くなったと思う。若手のバンドには、これからはインディーズ! って考えさせられる出来事だったかもしれないですね。
山口 ロックバンドなんて、そもそもインディペンデントな存在であるべきだし、ライブをベースにファンをどれだけ掴めるかが大切です。楽曲力が高いので、これから期待できるのではないでしょうか?
伊藤 そうですね。楽曲力っていう意味では彼らの曲は言葉力が高い。今回の「ことば」のフレーズ「言葉なんて信じない 信じてるのは あなただけ」は曲中でしっかりと光っていて、ズッシリと聴きごたえのある詞になっている。
山口 さて、そんな伊藤さん注目のSUPER BEAVER「ことば」から感じる、今回の妄想分析は?
伊藤 僕の名前は“Indifact63”(インディファクトロミ)、親がくれた名前はあまりにも時代に合わなかったので4年前に捨てた。職業は“ネット人”といっているが、要はネット上で生きていくのに必要最低限なインカムをつくり、ネット上で人と繋がっているだけだ。ここ5年、外に出たことはないし、リアルな人にあったこともないが、ちゃんと生きている実感はある。
ひとつ問題があるとしたら、自分の中から“真実”が消えていっていること。僕がつくる活字や画像や動画、自分自身さえもフィクションで、それの占める割合が増えれば増えるほど、元々持っていたものは少しずつ消えていく。本名もそのひとつだけど、家族や友達や思い出、自分の持っているモノや場所だって消えていく。最近一番ゾクゾクしたのは、自分の“ココロ”まで消えていっていることに気付いたとき。僕がネットでアウトプットしていることが、自分の“ココロ”にもないことだと知ったとき、これは“嘘”ではないと確信し、いままで頭の片隅に居座っていた“ウシロメタサ”も消えた。
そして僕の頭は工場だ。消えていったモノたちの空洞を埋めるように、新しい真実を創り、その創造物には僕だけが触れる。こんなこと言うのは馬鹿げていて無意味なことなんだけど、この工場はすごくパーフェクトな場所なんだ(笑)。
山口 うーむ。唯物論的ですな(笑)。
SUPER BEAVER「ことば」
[NOiD]/murffin discs 2016年1月27日発売
500円(税抜)
■SUPER BEAVERは、2005年に高校の先輩・後輩を中心に結成され、2009年にはメジャーにも進出を果たした4人組。本作を皮切りに、2月24日には「うるさい」、3月23日には「青い春」と、シングルが3カ月連続でリリースされる。4月にZepp DiverCityで行われるワンマンライブは、彼らのキャリアにおいて最大規模の公演となる。
■「ことば」作詞・作曲/柳沢亮太 編曲/SUPER BEAVER
■オフィシャルサイトURL http://super-beaver.com/
2016.01.14(木)
文=山口哲一、伊藤涼