季節の美味しい食材を考えると「これしかない」という料理

凝った前菜が出るのが、よねやまの特徴。

 まず前菜からアクセル全開。いくらと青菜のおひたしやふぐの煮こごり、しらこの雲丹載せといった酒肴と、飯蒸し代わりのほんの少しの鰻丼が出て、これから美味しいものを食べようという気にさせてくれます。

ふぐのたたき。

 お椀代わりのスッポンの小鍋は出汁が濃厚で日本酒にぴったり。続いて出されたふぐのたたき、鯖寿司は「飾りっけはないけれど味で勝負」が信条の新生よねやまらしい一皿でした。

じっくりと炭火で焼いたマナガツオ。
焼物は備長炭を使ってじっくりと。

 マナガツオの西京焼きや、鯛のあら炊きは、最近はやりの高級素材オンパレードの東京の高級割烹ではなかなか出てこない地味目な料理ですが、その季節の美味しい食材を考えると「これしかない」というのが米山さんの考え。紅葉鯛といわれるほど、秋の鯛は脂がのって素晴らしいですからね。〆はその鯛を使った炊き込みご飯。新米が鯛の旨味を吸って、贅沢な味です。最後の甘味は栗蒸し羊羹でしたが、これも米山さんの自家製です。

1.5キロの鯛の頭をあら炊きに。
最後の栗蒸し羊羹まで自家製。

 「まだリニューアルしたばかりで、調理場の導線に慣れていないんですよ」と頭を掻きながら、なにからなにまで一人で料理している、カウンター越しの米山さんのバタバタした姿を見るのも、楽しい会話のおかず。お腹も気分も満ち足りた「贅沢な晩ごはん」です。

津之守坂 よねやま
所在地 東京都新宿区荒木町15 津之守坂マンション1F
電話番号 03-3341-3117
営業時間 18:00~21:00(L.O.)
定休日 日曜
予算 コース15,000円(税別)
[2015年10月訪問]

小暮ひろみ(こぐれひろみ)
東京都生まれ。ライター&エディター。食業界全体にネットワークを張り巡らせ、「初物を逃すな」を合言葉に話題の店の一番乗りレビューに燃える。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2015.12.07(月)
文・撮影=小暮ひろみ