シチリア島で1年7カ月を過ごしたシェフの思い入れたっぷりな店
2014年秋にオープンした「シチリア屋」。
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その名の通り、店で出てくるのは、シチリア料理。ワインもすべてシチリア産。シチリア島で1年7カ月を過ごした大下竜一シェフが、土地の味に惚れ込んで作った、思い入れたっぷりのお店です。
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右:カウンターに置かれたSICILIAの文字。
都営三田線の白山駅や春日駅から徒歩7分という決して便利な場所じゃないのに、オープン以来、すぐに大盛況になったのは、3,000円(税別、以下同)のコース1種類というメニューがリーズナブルで、とっても充実していたから。でも、こればっかりだと面白くないというイタリアンファンのために、この2015年11月から、遅めの時間はアラカルトもオーダーできるようになりました! 自分のわがままで好きなように頼めちゃうというわけです。
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今までは全時間帯、席に着くと全員3,000円の「シチリアセット」を頼むことになっていました。これがコース仕立てになっていて、あとはなにも頼まなくても満足してしまう内容なのだから、実はお得!
最初に出てくるのは、前菜4品。そしてスープ、3種類から選べる前菜。さらにたっぷりのパスタまでがついてくる! こちらも3種類からチョイス可能です。まだ食べたかったらパスタやメインもオーダーできますが、女子ならたぶん、これでお腹いっぱいになるはずです。
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この日の前菜4品盛りは、輪切りのレモンの上に赤玉ねぎをみじん切りにしたサラダ(なんとシナモン風味!)、ウニのブルスケッタ、そばの実とポルチーニ茸の煮込み、ポルティッティーノというローストアーモンドが入ったミント風味の香ばしい肉団子。なんだか異国情緒にとんだ味……。
普通に思い描くイタリア料理とちょっと違って、イメージしにくいかもしれません。でもこれは全部、シチリアの家庭料理や、シェフが出会った料理なのだそう。独自の味を持つシチリアって面白い! ハウスワインとして使っている600円のグラスワインを片手に食べれば、気分は太陽の光りまぶしいシチリア。そうそう、店の壁は海をイメージしたブルーです。
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右:グラスワインは600円。
乾燥そら豆のスープや、羊のチーズを挟んで揚げたイワシを食べれば、パスタの手前で、すでにお腹もかなりいい感じ。パスタは、フィノキエットという野性のフェンネルをこれでもかというほどたっぷり使ったイワシと、マカロニを長くしたような太いパスタ、ブカティーニを和えたものなどから選べます。個人的にはイワシのパスタがお勧め。
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2015.12.21(月)
文・撮影=浅妻千映子