贅沢感のある、細部まで作りこんだインテリア
東京、横浜、大阪と、合計5店舗を構えるサローネグループ。イタリア料理界のなかで確固たる地位を確立していますが、その中でも秘密めいたリストランテが、南青山の「イル・テアトリーノ・ダ・サローネ」。今年5月からは、28歳という新しいシェフを迎え、店内も改装し、ますます魅力的な店になりました。
店名は、訳して「小さな劇場」。訪れれば納得します。ビルの外階段から地下に降り、扉を開ければ、店内はまさに劇場にすっぽり入ったよう。そこは現実を離れた世界です。「ヨーロッパから見たアジア」をテーマに、流木など使った店内は、オリエンタルな要素とナチュラルさ、そして妖艶さまでもが自然になじんで、小悪魔的とでも言っていいのか、何とも不思議な感じ。白っぽく明るく仕上げたレストランが多い中、こうして細部まで作りこんだ内装はやはり贅沢感があります。訪れたなら、シャンデリアのある個室もぜひのぞいてみて。木をユニークに使ったテーブルがあって、ゆったりと2人で使用可能。特別な日に使ってみたくなるかもしれません。
右:料理を前にして真剣な表情の岡野さん。
さて、カウンターの向こうで迎えてくれるのが、新シェフの岡野裕太さん。イタリアで4年修業ののち、同グループの大阪の店でスーシェフに。そしてこちらのシェフに大抜擢され、やはり20代のスーシェフとともに、月替わり10品のおまかせコースを作り上げています。
席に座ると、最初に出てくるのはストゥツキーノ(おつきだし)の3品です。とことん軽い海藻チップスは、ナポリのピザの生地に海藻を練りこんで揚げたゼッポリというものをイメージして作ったのだとか。リコッタチーズとピスタチオのクリームがのったカンノーロはレモンの皮の風味が心地いい。そして2種類のチーズの入った小さなコロッケ。チョイスしてもらった品のいいスプマンテに合うことと言ったら! 先の料理が楽しみになります。
2015.10.19(月)
文=浅妻千映子
写真=イル テアトリーノ ダ サローネ