LOVE:アンチョビバター、鶏もも肉
「イタリアンってそういうものだよな~」とうなるおいしさ

恵比寿|ゴロシタ.

 世の中が変化するとともに、レストランも料理の出し方や人同士のやりとりが変わったなぁと思う今日このごろ。今までのやり方を踏襲するのももちろんいいのだが、便利なシステムを取り入れているお店が多くて面白い。

 特に予約は、ニューオープンだとオンラインのみ、というところが珍しくなくなってきた。細かいやりとりが必要な予約ならともかく、シンプルなものならオンラインでも十分。電話はそもそも苦手だし、たとえ営業時間外でもレストランの人たちの忙しそうな様子を垣間見る機会が多いので、どうも遠慮してしまう。だから、オンライン予約は特にお店が忙しそうな時間や深夜に「予約しなくちゃ!」と思ったときとても便利なのだ。

つきだし。「おいしいじゃがりこ」とコソコソ呼んでいた。最初がビールの人にはうってつけ!

 恵比寿にできたイタリアン「ゴロシタ.」もそんなレストランのひとつである。オンライン予約が可能で、電話によるリコンファームもなし。そして、新しい! と思ったのが荷物の管理。カウンターに通されると、背中にロッカーがあって各自で荷物をしまう。荷物を預けて自分もお店の人も忘れてしまったこととか、なくもないので自己管理はいいかも! 冬になるとコートも自分で管理できるのでなにかと面倒もなさそう。お店の人は「大リーグのロッカーをイメージしました」と言っていたが、本当にそんな感じ。

 さてさて、カウンターは広くて、イスもゆったりしていて、きちんと食事をする空間だ。しかし、バーのように雰囲気が良く、もうちょっとおめかしをしてくればよかったと反省。でもカジュアルで浮きまくる、というわけではない。客層は男性が多く、静かに、でもビジネス然とするわけでもなく、ふたり連れだったりおひとりだったりして、それぞれに寛いで、おいしそうに食べている。

 アラカルトメニューを開くと、久しぶりに「ああ、読み物としていつまでも読んでいたい!」と思う素敵なメニュー。「あんまり興味ないですね」というものがひとつもないではないか! ちなみに、メニューの最初には「写真は迷惑がかからないように撮りましょうね」というようなことが書いてあり、コソコソしながら「あの~、写真撮っていいですか~?」ときく必要なく、撮る人が自分でまわりに気配りする必要性を訴求していて、これも好感!

 迷いに迷って、アンチョビバター、馬のタルタル、キノコのソテー、うにのカペリーニ、極太パスタのトマトソース、鶏もも肉の炭火焼き。ワインは残念ながらあまりたくさん飲めないので、「この料理をお願いして、1杯で通すなら?」という無茶な相談の結果、結構個性的な、甘い香りのアルザスの白ワインを用意してくれた。

アンチョビバター。世界一のアンチョビは確かに大きい。カルピスバターの実力がいかんなく発揮されている。

 そしていきなりハートを掴まれた。最初に出てきたアンチョビバターから、もう大興奮。「世界一美味しい特大アンチョビ」なんて煽られたアンチョビはもちろんおいしいに決まっているが、その下にたっぷりのカルピスバター、そして見事に焼きこまれたトースト。それぞれの味がいいのと、量のバランス、パンの焦がし方や塩分のバランスもなんて素敵!「カルピス本社が近いですからね~」というネタまでついてくる始末である。バターが少なかったり、パンにバターじゃなくてオリーブオイルがついてくる昨今、やっぱりバターは天才だ! と思わせてくれる、ひと口のご馳走でした。

きんきんに冷えたお皿にのった、うにのカペリーニ。ひと口で終わっちゃわないのも幸せ♪

 すっかりファンになり、カウンターでぽーっ。馬のタルタルで鉄分を補給しながら生肉ならではの旨みを味わい、マッシュルームでもまた旨み攻撃。女ふたりで(静かに)キャーキャー言いながらペロリといただく。そして、パスタ! 絶対食べたかったトマトソースともうひと品、迷いに迷ったうにの冷たいカペリーニ。予想以上のうに度の高さに驚くのだけれど、それだけでなく、冷たい細パスタとうにの間に冷たいだしが存在するのが決め手。冷たいカペリーニと魚介の組み合わせには不思議なコクを感じるものだが、これは特にそんなおいしさが強かった。

黄色いお皿に、真っ赤なトマトソース。イタリアンパセリすらのせない潔さ!

 トマトソースは最近マイブームで、よく食べている。あんまりトマトの酸味がきつすぎなくて、加熱したトマトの味がしみじみ感じられるトマトソースが好き。門前仲町の「パッソ・ア・パッソ」のトマトソースは作る前にトマトを日に当てると言っていたが、それが好みのタイプのベースにある。こちらもそんな感じで、太陽による甘みと、もぐもぐ系極太パスタの相性たるや! ツルツルうにパスタともぐもぐトマトパスタにして大正解。また食べたいなぁ。

2015.06.10(水)
文・撮影=北條芽以