PEIの代表クラフトワークは伝統的なバスケット
左:見ているだけでウキウキしてくるカラフルなバスケットたち。欲しくなっちゃいます。右:PEIのバスケットについていろいろおしえてくれたアンさん。彼女のバスケット製作キャリアは30年で、いまもお店を経営しながらバスケットを編んでいる。
この島にはキルトやフッキング(かぎ針刺繍)など、伝統的なクラフトワークがあるのだけれど、そのひとつがバスケット。とてもカラフルで、そして意外に丈夫なバスケットは、さまざまなサイズや形があって楽しい。
基本は、ステッキや野球のバットなどに用いられるトネリコ材を編んでいくのだが、ハンドル部分はメープル材を使ったり、デコレーションに海藻などをあしらったりとアレンジもいろいろ。最初は、ポテトを入れるバスケットからはじまったという。1800年代のことらしい。
アンさんは、森に入り、木の幹を見ると、出来上がりのバスケットのイメージが見えてくるという。製作上、いちばん難しいのが木材の準備だそう。
まずは材料を叩いて、薄く剥ぎ、手で曲げられるほどの柔らかで、しなやかなものにする。
アンさんのお店には75人ものアーティストのクラフト作品が展示されているが、バスケットアーティストは6人。みんな少しずつ出来上がりが違っていて、同じような形のバスケットでも個性があるのが見て取れる。中にはアンティークのバスケットもあり、先住民族のミクマックの人が編んだバスケットも売っている。
アンさんが現在手がけているのは4世代前の「鱈用バスケット」の修復で、「とにかく丈夫だから何百年でも使えるけど、材料が頑丈な分、修理は大変ね」と話しながらも、愛おしそうに古いバスケットを見せてくれた。
1950年代のバスケットは、先住民族のミクマックの人が編んだもの。ブルーベリーで染められたブルーは、表側は褪せてしまっているが、裏側はこんなに鮮やかに残っている。175カナダドル。
広い店内にところ狭しと並ぶバスケット。眺めているうちに目移りがし、手に取ると欲しくなる。
オーガニックフードにしても伝統クラフトにしても、当たり前のように島に、暮らしに根づいている感じが、とても素敵に思える。一過性のブームに終わらない、地に足のついた生き方がアイランダーなのだなぁと感じたPEI訪問だった。厳しい冬のある島だから、ふわふわ生きるなんてわけにはいかないのだろうなとも思う……。

Island Traditions Store(アイランド・トラディション・ストア)
所在地 17 Sunnyside Rd, Richmond, Prince Edward Island
電話番号 +1-902-854-3063
URL http://islandtraditionsstore.com/

大沢さつき(おおさわ さつき)
大好きなホテル:LAPA PALACE@リスボン
大好きなレストラン:TORRE DEL SARACINO@ソレント
感動した旅:フィリピンのパラワン島ボートダイビング、ボツワナのサファリクルーズ、ムーティ指揮カラヤン没後10周年追悼ヴェルディ「レクイエム」@ウィーン楽友協会
今行きたい場所:マチュピチュ
Column
トラベルライターの旅のデジカメ虫干しノート
大都会から秘境まで、世界中を旅してきた女性トラベルライターたちが、デジカメのメモリーの奥に眠らせたまま未公開だった小ネタをお蔵出し。地球は驚きと笑いに満ちている!
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- 文・撮影=大沢さつき
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