験担ぎとインパクトで、念願の事務所に所属
――オーディションでのエピソードを教えてください。
書類審査が通って東京行きが決まったときは、僕自身にまったくトゲがないので、なんとか審査員の方の印象に残らなきゃいけないと思い、原宿で買った、前に“ふざけていない”、後ろに“真剣です”と書かれたTシャツを着て、オーディションを受けました。
ほかにも、験担ぎのために、かつ丼を食べたり、最終オーディションのときも、前回と同じようにインパクトのあるTシャツを着ました。
――その後、念願のSMAに所属し、夢でもあった演技レッスンを受けて、『5つ数えれば君の夢』で映画デビューしたわけですが、いかがでしたか。
演技レッスンに関しては、先生はとても厳しいですが、細かいところまで教えてくださるので楽しいです。『5つ数えれば~』は事務所に入って3カ月ほどで、現場というものを初めて体験した作品です。スタッフさんも役者さんもプロフェッショナルな方ばかりで、これだけの人数が関わって映画が作られているんだということを知り、表に出る人間として責任を持つことを学べました。これからも俳優としてやっていくうえで大切な一作になりました。
――映画といえば、先ごろ公開された『飛べないコトリとメリーゴーランド』ではヒロインの不思議な同僚・のぼる役を演じていましたが、実際の渡辺さんも変わったキャラですよね?
それぞれのキャストが当て書きで、書かれているんですが、軽い打ち合わせをしたときに、脚本も書かれる監督は僕を変人だと思ったらしく、結果変人キャラになりました。親にも「何を考えているか分からない」と言われますし、友達からは「発想がおかしい」と言われたりもするんですが、実際は特に何も考えていないんですよ……。思い出し笑いも多いので、気持ち悪がられています(笑)。
2015.08.07(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹