人気コミックの実写ドラマ化「となりの関くんとるみちゃんの事象」で、初主演を務めている渡辺佑太朗。野球少年から一転、マッシュカットが特徴的な個性派俳優のアタマの中を覗きます。

野球少年から、人を感動させる俳優を目指す

――小・中・高と、野球少年で、サウスポーのピッチャーだった渡辺さんですが、野球を始めることになるきっかけは?

 野球好きな父親の影響から、小学4年生のときに学校の野球部に入部したのがきっかけです。最初に就いたポジションはショートで、次がファーストでした。毎日のように練習していて、甲子園に行くのを目指していましたね。憧れの選手は斉藤和巳選手でしたが、球が遅いこともあってピッチャーは絶対に無理だと思っていたんです。でも、中学の終わり頃からカーブが得意になって、そこから頑張ってエースピッチャーになりました。

――その後、13年に行われたSMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)初の男子限定オーディション「ダンリョク」ファイナリストに選ばれますが、オーディションを受けたきっかけは?

 高3の春ぐらいに甲子園の夢を諦めたとき、突然、役者をやりたいと思い始めたんです。それまでは自分からドラマや映画を観る感じではなかったんですが、それ以来いっぱい観るようになりました。なかでも、初めて一人で映画館で観た『ツナグ』では、フィクションなのにここまで人を泣かせることのできる、役者さんのスゴさに惹かれました。

――渡辺さん自身、SMAにこだわりを持っていたとか?

 最初は自分でもよく分からなかったのですが、よくよく考えてみると、二階堂ふみさんや橋本愛さんなど、演技が巧い役者さんが所属している事務所というところで、僕も演技が巧くなりたい、彼女たちと同じ演技レッスンを受けたいという気持ちがあったのだと思います。それでずっとソニーに履歴書を送っていたんですが、書類すら通らなかったんです。「ダンリョク」は男性限定のオーディションだったので、これでダメだったら諦めようと思っていました。

2015.08.07(金)
文=くれい響
撮影=山元茂樹