ファーストクラスの空間をひとりじめ!

本来なら屋根が付いたあちらのタラップを使うはずが……。
この方達、同じファーストクラスの搭乗客かと思ってバスに乗ったのだった。後ろにタッセル付きのひもを下げているのはカタール人なのだとか。こちらのエコノミークラスのタラップには屋根がない。

 豪華なラウンジをたっぷり楽しんだ後は、いよいよ目的地のアブダビに向けてのフライト。たったの1時間だけれど、この区間はファーストクラス。なんと、搭乗口を間違えて乗ってしまった!

 エコノミークラスとファーストクラスは別々の車で、別々のタラップに案内されるはずが、目の前に来ていた大きなバスに、他の搭乗客と一緒に乗ってしまったのだった。エコノミークラスのタラップは最後尾。そこから機内を先頭まで歩いて行くと、CAさんたちが、「え? なぜそちらから??」と驚いた。扉の前で私を待っていたのに、後ろから現れたからだ。

この部分が貸し切り状態だった! まるでプライベートジェット気分!

 というのも、このフライト、ファーストクラスの搭乗客はひとりだけ。つまり、私しかいなかったのだ。私のためにかけられたタラップは、使われることもなく片づけられることに。「ごめんなさーい!」。というわけで、私だけのために、CAさんがふたり。エコノミークラスとはカーテンで仕切られているので、視界には誰もいない。気分はまるでプライベートジェット!「どの座席に座っても構いませんよ」と勧められて困った(笑)。

シートは微調整できる。1時間のフライトだけど、フルフラットにもなるロングフライト仕様。フルフラットにするボタンだけベッドのイラストになっているのがかわいい!
左:アラブ圏では欠かせないデーツ(ナツメヤシの実)。個別包装されていた。
右:アラビアコーヒー。コーヒーに、スパイスやローズウォーターが入っている。

 離陸前には、デーツ(ナツメヤシの実)と、目の前で高々と注いでくれるアラビアンコーヒーのサービス。離陸してシートベルトサインが消えると、食事となる。

 立ち上がってあちこち写真を撮りはじめた私に、食事のトレーを持って現れたCAさんは、思わず「ノット・ディス・タイミング!(今はやめてー!)」と。そう、このフライトは1時間だけれど、実質40分程度。離陸と着陸の時間を考えると、上空にいるのは20分足らず。早く食べないと間に合わないのだ。

左:スパイシーなコーヒーと甘いナツメヤシはよく合う。
右:1時間のフライトだというのに、しっかりとした食事が出る。すぐに食べないと着陸態勢に入ってしまうのでご注意あれ!

 急いで座席に戻って、食事の写真を撮ってから(笑)、美味しくいただいたのだった。飲み物は、デーツを使ったミルクセーキをお願いしておいた。デーツとミルクは、バナナとミルクの組み合わせと甲乙付けがたいくらい美味しいと私は思う。そんなことを考えながら、無事に着陸態勢に入る前に食べ終わることができたのだった。

緩やかにカーブしたデザインのアブダビ空港の管制塔。砂埃で煙った空気がアラビア半島の熱気と乾燥を感じさせる。

 いよいよアブダビ。ドラマチックなデザインのターミナルに、胸を膨らませつつ到着ロビーに向かった。

アブダビの空港ターミナル。SF映画の宇宙船のよう。この丸いターミナルから放射状に搭乗口がある。

カタール航空
URL http://www.qatarairways.com/jp

たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航130回超・60カ国超、海外スパ取材230軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)が4刷、台湾版も好評につき、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』が発売中!
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Column

たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周

ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

2015.08.07(金)
文・撮影=たかせ藍沙