バラエティ豊かなおやつパン

 イチゴやチェリー、木の実をトッピングしたデニッシュは、コクのあるカスタードクリームとサクサク生地の食感にうっとり。紅茶がよく合います。

手前から時計まわりに「いちごのデニッシュ」260円、「木の実のデニッシュ」220円、「チェリーのデニッシュ」260円。

 「プチ・ボネ」は、小さな帽子と名付けられた一口大のフィナンシェ。「パリで働いていた時に、パティシエから教わったレシピで作っています」と村田さん。良質の卵白をふんだんに使った、しっとり食べやすいお菓子です。バターやアーモンドプードルが少なめだから、日本茶にも好相性。ティータイムや食後に、気軽につまんで食べられるのがいい。

「プチ・ボネ」1個 50円。

 菓子パンには、通常の湯種とは違う独自のやり方で起こした種を使用。「優しい甘さでジューシー感のある生地を作っています」。

 金ごまを表面にまぶした「金ごまあんぱん」、こだわり卵で作ったまろやかなカスタードクリームたっぷりの「クリームパン」、サクサクのクッキー生地をのせた「メロンパン」など、どれも、もう1個食べたくなる生地の口溶けです。

「金ごまあんぱん」100円。
左から「クリームパン」130円、「キャラメルショコラ」150円。

 色々あるおやつパンの中で、やみつきになったのが「パン・オ・カカオ」。フランスパン生地にカカオパウダーを練り込んで焼き上げてあるのですが、しっとりしていて、大人のカカオの香りにうっとり。フランスで人気だったレシピを、村田さんがアレンジしたもの。

「パン・オ・カカオ」220円。

 「パンの成分をコントロールしておいしさに変えるために、独自のやり方で工夫しています。発酵を徹底的に管理するのが、職人であり、ブーランジェの仕事」。パンを徹底的に科学していると村田さんは言います。どのパンも完成はなく、掘り下げていって、粉の旨みを最大限に引き出す努力を惜しみません。

 「2年後に、焼き立てのパンを食べてもらえるカフェができるようにがんばります。おいしいサンドイッチも作りたいし、さらに、カレーパンの専門店も作りたい」。村田さんの夢が叶う日が待ち遠しい。

 おやつパンも、食事パンも、いっぱい買いたくなる、下町の小さなパン屋さんです。

焼き上がりを知らせるボードも、もちろん手作り。

『MAISON MURATA』
所在地 兵庫県神戸市兵庫区小松通2-3-14
電話番号 070-6924-6931
URL http://maisonmurata.web.fc2.com/

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2015.05.13(水)
文・撮影=そおだよおこ