富田林市は大阪府の南東部にあり、古くは紀伊国(和歌山県)への街道の宿場町として栄えました。富田林寺内町(じないまち)は、江戸時代以前からの重厚な建造物が数多く残り、大阪府内で唯一の重要伝統的建造物群保存地区になっています。
株式会社冨士屋製菓本舗は、そんな富田林市で豆菓子を製造する会社。1913年創業で、2012年に創業100周年を迎えました。
「祖父が、第二次大戦前に働いていた菓子屋の屋号を継いで、戦後に始めました」と3代目の北野登己郎さん。豆菓子を製造する業者は、かつて、大阪に20軒以上あったのだそう。「現在は4、5軒でしょうか」。
そういえば、香ばしく炒った炒り豆や「バタピー」ことバターピーナッツ、油で揚げた空豆やいかり豆など、昔は、おやつやおつまみとしてよく食べられていました。
右:豆の仕入れから自社製造するのは珍しいこと。
「豆菓子を自社で製造販売している会社は、意外に少ないんですよ。多くは製造元から仕入れて売っている。うちは全商品を自社製造しています」と言いながら、北野さんは工場を案内してくださいました。得意とするのは「かけ豆」と呼ばれる、もち粉のデンプン・寒梅粉をかけて焼き上げた後、味付けをする豆菓子。その代表が、大阪生まれの「雀の玉子」。大阪府の「大阪産(もん)名品」の認定を受けた商品です。
2015.05.24(日)
文・撮影=そおだよおこ