どうすれば「楽しめるか」を、徹底的に考える
家庭と仕事の両立をスムーズに運ぶために障害となっていたのは、意外なことに、自分自身のジェンダー意識ではなかったかと、奈良さんは自分を振り返る。
「実は、夫のほうがきれい好きなんです。ですから以前は、『夫が帰るまでにきれいにしておかなければ』とか、掃除ができなかったときは『ごめん、できなかった』と謝ったりしていました。『いつも部屋をきれいにしなければ』というのがプレッシャーになっていたんですね。そんな私を気遣ってか、そのうち夫も積極的に協力してくれることに。夫のサポートに対して『申し訳ない』ではなく、『ありがとう』と素直に言えるようになり、心が軽くなりましたし、お互いこれまで以上に楽しく過ごせるようになったんです」。
今では、特に家事の分担を決めていなくても、どちらか手の空いたほうが洗濯をしたり、さっと掃除を行うなど、スムーズに家事を進行させている。
さて、奈良家の普段の食事で役立っているのは、ホームベーカリーだ。
市販のパンは添加物が気にかかるし、頻繁に買うより作ったほうが楽という理由で、ホームベーカリーを購入。材料を入れてスイッチポンで焼きあがるパンは、安全な野菜を混ぜ込んだり、レーズンなどの栄養素も加えることができる。子どもも喜んで食べてくれるので、2日に一度、奈良家のキッチンではパンを焼く香ばしい香りが広がっている。
もう一つ役立っているのは、社内で販売される新鮮野菜。
パソナが兵庫県の淡路島や栃木県で農業分野での独立を目指す方々を対象に実施している農業ベンチャー支援制度「パソナチャレンジファーム」。そこで作られた野菜や近隣農家の方々が作った野菜が、社内で販売される。生産者の顔が見える安心安全でおいしい野菜がお手頃に手に入り、買い物時間の節約もできる一石二鳥の社内販売は強い味方。旬の野菜を家族も楽しみにしている。
奈良さんは「どうすれば楽なのか、考えているだけなんです」と笑う。奈良さんの言う「楽」は「手抜き」というより、その先の、より完成度の高いゴールに到達するためのもののように思える。
「マルチタスクな『家事』という業務を引き受けているママたち。そのスキルは必ず仕事に活かすことができるはずです。女性の力でもっと日本を元気にできればいいですね」と、奈良さんは力強いメッセージを送ってくれた。
Column
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2014.12.22(月)
文・撮影=HITOMINA