生物地理学の父を驚かせた“種の工場”
ダーウィンの同僚だった“生物地理学の父”アルフレッド・ラッセル・ウォレスが1860年にワイゲオ島で数カ月を過ごした際、「私が見てきた中で最も珍しく、絵になる風景だ」との言葉を残しました。彼のラジャアンパットでの研究はその後、進化論にも貢献したそうです。
ラジャアンパットはコーラルトライアングル(マレーシア、フィリピン、インドネシア、東ティモール、パプアニューギニア、ソロモン諸島)の中央に位置します。海流が太平洋とインド洋から魚類を運び、リーフフィッシュは1400種類以上。そのうちラジャアンパット固有の魚は19種も。また、豊かなサンゴは550種以上が花開き、いわゆるリーフを形成するサンゴの75%が、ここに生息しているとか。
鳥類も670種以上。バタンタ島とワイゲオ島にはウィルソンズ・バード・オブ・パラダイスとレッド・バード・オブ・パラダイスという珍しい極楽鳥の固有種も。極楽鳥に種類があったこと自体、知らなかった! バードウォッチャーにとってもパラダイスなのです。
その生物の豊かさは、「新たなる研究者が訪れれば、何かしら新たな発見をして帰る」と言われ、この地は“種の工場”とたとえられるほど。資料ごとに種類の数値が微妙に違うのは、ひょっとして続々と新種が発見されているからなのかも?
2014.11.08(土)
文・撮影=古関千恵子